孤立が招く「燃え尽き」
敵を作らない最大のメリット

 同僚との関係は、心身の健康にも関わります。カナダのヨーク大学のエッシャー・グリーングラスらは、職場でのサポートと燃え尽き症候群の関係を調べています。その研究では、同僚や上司からの支援が、情緒的消耗の低下や達成感の高さと関係していました。職場で支えてくれる人がいることは、ストレスを減らし、仕事を続ける力にもつながるのです。

 逆に言えば、周囲を敵に回し、誰からも支援を受けにくい状態になると、仕事の負荷はすべて自分に返ってきます。相談できない。助けを求めにくい。ミスをしてもフォローされない。こうした状態が続けば、成果が落ちるだけでなく、精神的にも追い込まれやすくなります。

 仕事で本当に強い人は、むやみに敵を作りません。必要な場面では自分の意見をはっきり言いますが、相手を潰そうとはしません。自分の成果を大切にしながらも、周囲の成果も尊重します。情報を独り占めするのではなく、チーム全体が前に進むように動きます。

 それは、単なる「人柄のよさ」ではありません。仕事を進めるうえでの合理的な戦略でもあります。

 職場の人間関係をすべて損得で考える必要はありません。しかし、少なくとも、同僚を敵と見なして得をすることはほとんどありません。敵を増やせば、情報は入らなくなります。助けは来なくなります。協力も得られなくなります。その結果、本人は「自分だけが頑張っている」と感じるかもしれませんが、実際には自分で自分の仕事を難しくしているのです。

 職場の人たちは、敵ではありません。もちろん、全員と仲良しになる必要はありません。けれども、同じ組織で成果を出す以上、少なくとも「協力できる相手」として関係を保っておく必要があります。

 同僚を敵と見なす人の末路は、孤高の成功者ではありません。情報からも、助けからも、チャンスからも遠ざかる孤立した会社員です。

 本当に仕事ができる人は、ひとりで戦う人ではありません。周囲の力を借りながら、自分の力も周囲に差し出せる人です。仲間を増やし、敵を減らす。それが、長く成果を出し続ける人の働き方なのです。

参考文献
Greenglass, E. R., Burke, R. J., & Konarski, R. (1998). Components of burnout, resources, and gender-related differences. Journal of Applied Social Psychology, 28, 1088–1106.
Groysberg, B., & Lee, L.-E. (2008). The effect of colleague quality on top performance: The case of security analysts. Journal of Organizational Behavior, 29, 1123–1144.
Kelley, R., & Caplan, J. (1993). How Bell Labs creates star performers. Harvard Business Review, 71, 128–139.
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