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イラン情勢による原油高リスクを受け、化学メーカーの東レが「素材サーチャージ」の導入を発表しました。航空券でおなじみの仕組みですが「うちはBtoB企業じゃないから関係ない」「エアリズムが少し値上がりするくらいでしょ?」と軽く考えていませんか? 実はこれ、日本経済の根幹を揺るがし、私たちの給料にも直結する“恐ろしいドミノ倒し”の引き金なのです。サーチャージ制がもたらす悲劇のシナリオとは?(百年コンサルティングチーフエコノミスト 鈴木貴博

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サーチャージ導入の背景
産業界の「意識変化」

 イラン情勢で原油や石油関連製品の供給が不安定さを増す中で、化学メーカーの東レが興味深いリスク回避策を打ち出しました。樹脂や炭素繊維などの一部製品について「サーチャージ制」を導入するというのです。

「ええ!これからはユニクロのエアリズムやヒートテックも原油に連動して価格が上下するようになるの?」と心配になるかもしれませんが、そうではありません。

 これから起きることはもう少し複雑でかつ、日本経済にとっては深刻です。

 素材メーカーがサーチャージ制を導入すると日本がどうなるのか、これからおきる未来をわかりやすく解説したいと思います。

 サーチャージ制とは航空会社の料金でおなじみの制度です。航空券本体が3万円だけどサーチャージが1万円かかるので合計で4万円を支払わなければいけないというような形で、サーチャージを経験された読者も多いと思います。

 なぜ航空会社がサーチャージを導入したかというと、燃料費がコントロール不能なうえに最大コストだからです。サーチャージが発明される以前は原油相場のリスクは航空会社がすべて抱えていて、結果として原油高が起きるたびに航空会社の業績悪化が繰り返されていました。

 その問題意識からジェット燃料価格の変動分だけ2カ月程度のタイムラグで利用者から追加徴収するサーチャージ制度がうまれたおかげで、原油相場変動リスクの一部を航空会社が旅客と分担できるようになりました。それで経営が安定するようになったのです。

 今回の東レの発表はこれと考え方は同じですが、影響は大きく異なります。その点を説明しましょう。