「構想力・イノベーション講座」(運営Aoba-BBT)の人気講師で、シンガポールを拠点に活躍する戦略コンサルタント坂田幸樹氏の最新刊戦略のデザイン ゼロから「勝ち筋」を導き出す10の問い』(ダイヤモンド社)は、新規事業の立案や自社の課題解決に役立つ戦略の立て方をわかりやすく解説する入門書。戦略とは何か。変化の時代に、企業は何を問い直すべきなのか。本連載では、さまざまな経営や組織の悩みについて坂田氏に話を聞きながら、同書の考え方を現在進行形の課題へと結びつけていく

あなたもやっていない?「チームが機能しなくなる」リーダーの会議Photo: Adobe Stock

チームが機能しなくなる原因の一つは、「長い会議」

「この会議、何のためにあるんだろう」――そう感じながら席に座っている部下は、あなたが思っている以上に多いかもしれません。

 実は、チームが機能しなくなる原因の一つは、「長い会議」です。そして、その会議こそが、リーダーの方針のなさを部下に露呈してしまう場になっています。

30分で終わるリーダー、2時間かかるリーダー

 もちろん、議論すべき論点が多ければ会議は長くなります。問題なのは、「何を決めるのか」が曖昧なまま続いていく会議です。

 同じ会議でも、方針を持ったリーダーの会議は短いです。

 なぜなら、リーダーが会議の前に、自分なりの考えや判断基準を整理しているからです。会議では、その方針を共有し、必要な意見を集め、意思決定を行う。そのため、会議は短時間で要点を押さえて進みます。

 一方で、方針のないリーダーの会議は長くなります。

「実際のところどうだったの?」「その数字はどこから?」と、部下と同じ目線で情報を集めながら、その場で考え始めるからです。気づけば1時間、2時間が過ぎています。

 部下からすると、この違いは一目瞭然です。「このリーダーは会議に来る前に何も考えてきていない」そう感じてしまうのです。

最も残酷なのは「聞いているふりをする会議」

 さらに問題なのは、こうした方針のないリーダーに限って、心の中ではすでに結論を持っているケースです。

 部下の意見を聞いているように見えて、実は自分の結論に誘導したい。

 しかし、自分の方針を最初に示す自信がない。だから議論だけがダラダラと長引きます。

 部下からすると最悪です。時間だけが奪われ、自分の意見は結局採用されない。「何のために発言したのだろう」そんな徒労感だけが残ります。

 これが積み重なると、部下は会議で発言しなくなります。そしてチームは静かに、しかし確実に機能を失っていくのです。

部下が求めているのは
「結論を持ったリーダー」

 部下は完璧な答えを求めているわけではありません。求めているのは、リーダー自身の考えです。

「私はこう考える」「だからこう進めたい」

 まずその方針が示される。そのうえで議論が行われる。だから会議は必要以上に長引かないのです。そしてそうした会議ほど、リーダーへの信頼は高まります。

 会議は、その場で考え始める場所ではありません。考えたことを持ち寄り、意思決定する場所です。

この人についていけば大丈夫だ」――そう思わせるリーダーは、会議室に入る前に、すでに勝負を終えているのです。

坂田幸樹(さかた・こうき)
IGPIグループ共同経営者、IGPIシンガポール取締役CEO、JBIC IG Partners取締役。早稲田大学政治経済学部卒、IEビジネススクール経営学修士(MBA)。ITストラテジスト。
大学卒業後、キャップジェミニ・アーンスト・アンド・ヤング(現フォーティエンスコンサルティング)に入社。日本コカ・コーラを経て、創業期のリヴァンプ入社。アパレル企業、ファストフードチェーン、システム会社などへのハンズオン支援(事業計画立案・実行、M&A、資金調達など)に従事。
その後、支援先のシステム会社にリヴァンプから転籍して代表取締役に就任。
退任後、経営共創基盤(IGPI)に入社。2013年にIGPIシンガポールを立ち上げるためシンガポールに拠点を移す。現在は3拠点、8国籍のチームで日本企業や現地企業、政府機関向けのプロジェクトに従事。
単著に『戦略のデザイン ゼロから「勝ち筋」を導き出す10の問い』『超速で成果を出す アジャイル仕事術』、共著に『構想力が劇的に高まる アーキテクト思考』(共にダイヤモンド社)がある。