「うちの子、語彙が少ないのでは?」「自分の意見をちゃんと言えない」……。スマホやSNSの普及により、子どもの「言葉にする力」の衰えを危惧する声が増えています。そんな中、『「うまく言葉にできない」がなくなる 言語化大全』(ダイヤモンド社)等のべストセラーで知られる文章の専門家・山口拓朗氏が、待望のこども版『12歳までに身につけたい「ことば」にする力 こども言語化大全』(ダイヤモンド社)を上梓しました。同書は、マンガと「言葉を使ったゲーム」を通じて、子ども(小学校低学年~高学年)が楽しく言語化能力を身につけられる画期的な一冊です。本連載では、本書をベースに親御さん向けの記事として抜粋・編集した記事や、著者による書き下ろし記事で、「子どもの言語化力」を高める秘密を紐解いていきます。
Photo: Adobe Stock
「屁理屈」は論理的思考と言語化力が育っているサイン
「なんでお菓子食べちゃダメなの?」という子どもに、「ごはんを食べる前にお腹いっぱいになるでしょ」と返す親。
「でも、ごはんの後で食べてもお腹いっぱいになるじゃん!」と子どもは応戦。
ついたしなめたくなる屁理屈ですが、これを単なるワガママと排除してはいけません。
子どもが、自分の主張を通すために理屈(論理)を組み立て、言葉にして伝えようとしているからです。これは論理的思考と言語化力が同時に育っているサインです。
4~6歳は、子どもが言葉で駆け引きを始める時期です。
「ダメなものはダメ」が通じなくなり、親が理由を説明しなければならなくなる時期でもあります。
「なんで早く寝なきゃいけないの?」「昨日は遅くまで起きてたじゃん!」。
こうした言葉が出てくるようになったら、子どもの思考が一段階成長したと受け取りましょう。
では、このとき親はどう返せばいいのでしょうか。
やってしまいがちなのが、正論で返したり、「うるさい、ダメなものはダメ!」と力で押さえつけることです。
これでは、子どもの思考はそこで止まってしまいます。
また、「確かにそうだね」と完全に折れてしまうのも考えものです。子どもは「屁理屈を言えば通る」と学習してしまいます。
おすすめは「そう思うんだね。どうしてそう思う?」と問いで返すことです。
たとえば「なんで野菜食べなきゃいけないの? 野菜食べなくても生きていける」と聞かれたら、「どうしてだと思う?」と返してみましょう。「元気になるから?」「病気にならないから?」と子どもなりの答えが出てきます。
それが、正解かどうかは関係ありません。自分の頭で考え、言葉にしようとするプロセスそのものが、言語化力のトレーニングになります。
子どもの答えを受け止めたうえで、「実はね……」と大人の考えを教えてあげるのはいいでしょう。「野菜に含まれる栄養が、体の中で働いてくれるんだよ」と伝えれば、子どもは新しい言葉と知識を同時に手に入れます。
言い負かすのではなく、一緒に考える時間にする。これが言語化力を育てる親の関わり方です。
屁理屈は、子どもが論理的に物事を考えている証拠です。
「また屁理屈を言って」と遮断せず、「おもしろい考えだね」と受け止めることで、子どもの言葉の土壌はさらに耕されていきます。
屁理屈が出てきたら、ぜひチャンスだと思ってください。
*本記事は、『12歳までに身につけたい「ことば」にする力 こども言語化大全』(ダイヤモンド社刊)の著者山口拓朗氏による書き下ろしです。






