「バイ・ザ・ウェイ・ベーカリー」を経営するヘレン・ゴダン氏(ニューヨーク州プレザントビルにある工場の倉庫で撮影)
今年2月の見本市で、ヘレン・ゴダン氏は自身のベーカリーが手がけるミニサイズのバントケーキや一口サイズのブラウニーを、全米有数の大手スーパーマーケットチェーンに売り込んだ。
その後、ニューヨーク州プレザントビルにある小さな卸売り用の工場に戻り、どうやって注文に対応するかを考え始めた。
ゴダン氏の会社「バイ・ザ・ウェイ・ベーカリー」にとって、思いがけず重要な要素となったのが人工知能(AI)だった。
「スプレッドシートが延々と続いていた」とゴダン氏は言う。「追うのが大変で、信頼性もなかった」。そこでAIを活用した新しい製造計画ツールを導入。現在はミニサイズのバントケーキ「シュニブル」などを焼くために必要な材料や労働力、製造スケジュールを管理し、新規注文が入った際にもスムーズに増産できるようにしている。
AIが中小企業にも浸透しつつある。かつては数十億ドル規模の大企業しか手が届かなかったが、今では中小企業の供給網管理や生産計画の立案、その他の業務遂行を支援している。
シチズンズ・フィナンシャルが3月に実施した調査によると、中小企業(個人事業主1人だけの会社も含む)の50%超が、今四半期に生産性向上のためAIツールを活用する予定だと回答した。
AIの活用も急速に拡大している。従業員数20~99人の企業では84%が今四半期にAIを活用する予定だと回答し、100人以上の企業では91%がすでに生産性向上に活用していると答えた。
現在85人の従業員を抱え、グルテン・乳製品フリーの菓子を製造するバイ・ザ・ウェイは今年、AIを導入した。それまでは、事業が成長するのに伴いスプレッドシートを増やして管理していたが、スタッフが対応しきれないほど複雑になっていた。
業務マネジャーのエリザベス・ターベ氏は、エクセルで作成した製造スケジュールを週1~2回印刷し、職人たちがその日にどの行を見ればいいか、箱単位で購入した木製の定規を使って把握できるようにしていた。注文が変更あるいは追加されるたびに、ターベ氏が手作業で製造スケジュールを更新していた。
実際には話で聞くよりも複雑だった。チョコレートケーキ一つを作るには、生地用に何種類もの材料が必要なうえ、スポンジをしっとり保つためのシロップや、フロスティング(砂糖衣)、そして場合によってはデコレーションも必要だ。職人たちはそうしたケーキ作りと並行して、オーブンの使用スケジュールを確認しながら、スコーンやブラウニー、オーダーメードのウエディングケーキなど他の製品の生地作りも同時にこなさなければならない。







