「ついヤバいと言ってしまう」「自分の考えをうまく言葉にできない…」
言いたいことがないワケではないのに、うまく言葉にできない。あなたにも、そんな悩みはありませんか?
小学校から企業研修、さらには少年院まで、さまざまな現場で教えてきた小説家が教える、世界一やさしい「言語化」にまつわる授業。知ってしまえば、今は語彙力ゼロでも、話し下手でも、「自分の言葉」でちゃんと話せるようになれてしまう!
本記事では、ライターの柴田賢三氏に、『小学生でもできる言語化』をもとに、「頭がいい人と悪い人を分ける話し方」についてご寄稿いただいた。(企画/ダイヤモンド社・秋岡敬子)

「頭がいい人」「悪い人」の違い・ワースト1Photo: Adobe Stock

週刊誌記者が“必ず”叩き込まれる極意

「原稿は引き算だ」

 私が週刊誌の記者になって原稿を書きはじめたばかりの頃、鬼デスクから毎週のように言われていた言葉です。

 記者は、現場を駆けずり回ってネタや証言を集めます。
 苦労して取ってきた材料ですから、その一部でも捨てることには抵抗があります。

 だから、そのすべてを原稿に詰め込みたくなるのです。

 しかし、デスクから指摘を受けて、書き上げた原稿を自分で読み返してみると、情報が多すぎて、何を読者に伝えたいのかわからない

 結局、読みづらく、話が頭に入ってこない原稿になっていることがよくありました。

 こうした基本的なことを叩き込まれ、フリーライターとして独立した頃には、こんなことに直面しました。

いつの間にか、魔改造された記事

 ある自治体のホームページで「地元の魅力」を発信する仕事を依頼され、農家や酒蔵、グルメスポットなどを取材。

 原稿を納品したところ、数倍の長さになって返ってきたのです。

 私も取材して知っていることばかりでしたが、あえて「引き算」した部分がことごとく書き足されていて、もはやサグラダファミリア状態

 自治体の担当者に、やんわり「原稿をもう少し削りたい」と申し出ると、こう叱られました。

「ダメ、ダメ! もう局長やトップ(首長)まで目を通して承認を受けてるんだから」

 聞けば、私の原稿を「短い」と思った担当者が「足し算」して係長に上げ、課長、部長、局長、首長まで書き足した結果、とんでもない難解な長文が出来上がっていたのです。

「頭がいい人、悪い人」を分ける「伝え方」

『小学生でもできる言語化』という本では、著者で小説家の田丸雅智氏が「写真にうつっているもの」を言語化するトレーニングを紹介。

 その中で、こんなアドバイスをしてくれています。

逆に、言葉を入れすぎてだらだらと長くなったり、あまり重要ではない言葉が入ったりしていても、印象が変わって相手に伝わりづらくなってしまいます。

――『小学生でもできる言語化』より

 田丸氏は、「秋の公園に立つ紅葉した木々」の写真を言語化する際、一度は目に入ってきた材料や、思ったことを単語としてたくさん書き出し、その言葉のブロックを組み立てて文章にするときに「引き算」をしていました

ちなみに、青空のことが文章に加われば日中であることは自然と分かるかなと考えて、冒頭にあった「日中」という言葉は削ってみることにしました。

――『小学生でもできる言語化』より

 先ほど私は、「どんどん継ぎ足されていく」ことの例えとしてサグラダファミリアと書きましたが、決して否定的な意味ではありません。

 あの建造物は、「芸術のプロ」や「建築のプロ」が携わっていますが、「文章のプロ」は関わっていないはずです。

 お役所の人たちは「行政のプロ」であって、「文章のプロ」ではない。

 税金を使って、せっかくプロを雇ったのだから、変に継ぎ足すと全体が台無しになる。

 そのことを表現するために、あえて書きましたが、ここまできたところで「誤解を生むかもしれない」と思いはじめました

 言語化はプロでも難しい。
 だからこそ、「小学生でもできる」という視点が大人にも必要なのかもしれません。

(本記事は、田丸雅智著『小学生でもできる言語化』をもとに作成しました。)