少食でも健康的だと思っていた。むしろ食べ過ぎない方が体にいいと思っていた――しかし医師は、もともと食が細い人に対して、意外なアドバイスをする。老後の食欲低下に備えた「今できること」とは。
東京農業大学で栄養について長年研究し、医師としても活動する田中越郎氏の著書『医者が教える 栄養学的に正しい最高の食事術』からヒントを探る。(構成/ダイヤモンド社・林拓馬)
「やせは敵」になる時期が、必ず来る
中年期まで「太ること」を警戒してきた人は多い。
メタボリックシンドロームへの懸念から、食べすぎてはいけない
という意識は正しい。
しかし著者は、この常識が老年期には逆転すると言う。
中年期までは「デブは敵」。老年期では「やせは敵」だ。
老年期になると、食欲が落ち、必要な栄養量を食べることができない人が増えていく。
食べたくても食べられない、太りたくても太れなくなる――
この状態が、老後の健康を大きく左右する。
今のうちに「胃腸を鍛えておく」という発想
もともとやせていて食が細い人は、時々無理して大食いをすることをおすすめします。
中年期までは「デブは敵だ」が正しい考え方ですが、老年期になると「やせは敵だ」が正しい考え方になります。
老年期では、十分に栄養を摂る必要があるのに食欲が出ず、必要量を食べることのできない人が増えていきます。
食べたくても食べられない、太りたくても太れなくなるのです。
そうならないために、今のうちに胃腸を鍛えておくという意味で、時々無理をしての大食い修行をおすすめします。
大食いが可能なうちに胃腸に時々大食いを経験させておくわけです。
なお、既に頻繁に大食いをしている人には、この消化器トレーニングはまったく不要です。
著者が提案するのは、「時々、意識的に食事量を増やしてみること」だ。
これは毎日大食いをすすめているのではない。
胃腸に「たくさん食べる」という経験をさせておくことで、老後の食欲低下に備えるという発想だ。
筋肉と同じように、胃腸も使わないと衰える。
少食のまま年齢を重ねると、いざ食べなければならない状況になっても、体がついてこなくなる可能性がある。
ただし、これはもともと食が細い人への提案であり、すでに頻繁に大食いをしている人にはまったく不要だと著者は明記している。
「食べられる今」を、当たり前と思わないこと
食欲があり、好きなものを食べられる――
その状態が、年齢とともに失われていく可能性があることを、多くの人は意識していない。
「食べられる今」は、実はかけがえのない健康資産だ。
なお、この提案は健康な人を対象としたものだ。
消化器系の疾患や持病がある場合は、食事量を増やすことが体に負担をかける可能性もある。
気になる場合は、かかりつけ医に相談のうえで取り入れてほしい。
今日から試すなら、月に一度、いつもより少し多めに食べる機会を意識的につくることだけでいい。
(本記事は、書籍『医者が教える 栄養学的に正しい最高の食事術』をもとに作成しました。本記事は、医師による診断や治療の代わりとなるものではありません。健康状態に不安がある場合は、必ず専門の医療機関を受診し、医師の指示に従ってください。)
●東京農大名誉教授・栄養学の専門家である医者が教える「栄養学的に正しい」食事の大原則
●「健康」はもちろん、ダイエットから仕事まで「いつもの食事」が人生を変える!
世間には数多くの健康法があふれています。
そして健康意識の高い人ほど、新しい情報を入手し、自分の生活に取り入れています。
しかし、その結果「本当の健康」を得られている人はどれほどいるでしょうか。
ひとつの論文やエビデンスだけを信じた食事では、栄養が偏ってしまいます。
また「健康意識」の高まりを狙った企業のマーケティングの影響で「必要のない食品」や「効果の薄いサプリ」を購入してしまう可能性もあるのです。
そんななか、食事対する必須知識として「栄養学」への関心が高まっています。
本書では、東京農業大学で栄養学と生理学の研究を続け、医師でもある著者が「栄養学的に正しい」最高の食事術を紹介します。
誤解しがちな栄養に関する知識を正し、実生活のなかですぐに取り入れることができる具体的な食べ方や食材、食品がふんだんに掲載されています。
基本となる知識と具体的な食事術を学ぶことで「健康法」迷子から抜け出し、食事によって人生が変わる1冊です。
主要目次
第1章 まず知るべき「栄養と食品」の基本
栄養バランスは毎日考えなくていい─「1週間」でつじつまが合えばOK
「完全栄養食」を信じるな─「これだけを食べれば大丈夫」などありえない
トクホと「健康食品」はまったくの別物─機能性食品の違いをおさえる
第2章 「病気と栄養」の危ない関係
ジュースが危ない本当の理由─果糖とブドウ糖はヤバすぎる
「体にいい油」も要注意─変性すれば、すべて悪玉
「コーラで歯が溶ける」は本当─リン酸の強さとその代償
第3章 栄養学的に「ヤバい」食習慣
ファストフードで地雷を踏むな─シェイクのヤバさを知る
黒烏龍茶でチャラにはならない─「焼け石に水」で食べ過ぎを招く
プロテインが逆効果になる?─肝臓・腎臓が酷使される理由
第4章 頭が悪くなる「脳をダメにする」食事
ビタミン不足は静かに脳を鈍らせる─頭が悪くなる仕組み
「カルシウム不足でイライラする」のは本当か?─科学的根拠はない
「コーヒーを飲まないと頭が回らない」は危険信号─カフェイン依存のリスク
第5章 「体によさそう」に惑わされないための知識
野菜ジュースで「野菜」は摂れない─ビタミンCも食物繊維も抜けている
「グルテンフリー神話」に惑わされるな─アレルギーがなければ無視していい
サプリメントは買わなくていい─価格も品質も信用できない
第6章 「食べないほうがいい」食品の誤解を解く
コレステロールは敵ではない─体の必須成分と動脈硬化の関係
「白米を食べると太りやすい」のはなぜか─長所と短所を理解する
「うま味調味料=危険」は思い込み─グルタミン酸ナトリウムの正体
第7章 誰でもすぐに実践できる「栄養学的な食習慣」
チェーン店で健康的に食べる方法─最強はリンガーハットの「ちゃんぽん」
パフォーマンスを上げるには「お酢」を飲む─最速でシャキッとする
「腸活」ブームが見落としているもの─腸内細菌は大腸にいる
第8章 「体調と体質を改善する」食事術
風邪をひいたらホットジュースを飲む─「ダイダイ湯」「生姜湯」がいい
食べるべき食品ベスト1は「納豆」─ビタミンKが爆増する発酵の力
「なんとなく不調」なときは食べものを疑う─5つの食事リセット術
第9章 「ストレスから体と心を守る」食事術
老化と病気は抗酸化物質で防ぐ─「ポリフェノールたっぷり」に騙されない
「おいしく・安く・栄養豊富」な旬の食材を選ぶ─無駄にお金をかけなくていい
強いストレスには「動物性たんぱく質」と「ハーブティー」─メンタルを整える食事
第10章 「やせながら元気になる」栄養学的ダイエット術
「2日で1.5kg」は誰でもやせられる─大切なのは継続できるかどうか
リバウンドを防ぐための小さな工夫─体だけではなく「心の健康」を維持する
「体脂肪率」に振り回されるな─大切なのは「経過」を追うこと
第11章 「健康なまま長生き」するための食事術
「空腹は最強のクスリ」は本当か?─実践してわかった長所と短所
40歳から筋肉は勝手に減り続ける─寝たきり回避には「たんぱく質」が必須
発がん性物質を避けるには「焼く」よりも「煮る」─肉はマリネがおすすめ