少食でも健康的だと思っていた。むしろ食べ過ぎない方が体にいいと思っていた――しかし医師は、もともと食が細い人に対して、意外なアドバイスをする。老後の食欲低下に備えた「今できること」とは。
東京農業大学で栄養について長年研究し、医師としても活動する田中越郎氏の著書『医者が教える 栄養学的に正しい最高の食事術』からヒントを探る。(構成/ダイヤモンド社・林拓馬)

【医師が教える】50歳を過ぎて「少食」の人が注意すべきことPhoto: Adobe Stock

「やせは敵」になる時期が、必ず来る

中年期まで「太ること」を警戒してきた人は多い。
メタボリックシンドロームへの懸念から、食べすぎてはいけないという意識は正しい。
しかし著者は、この常識が老年期には逆転すると言う。

中年期までは「デブは敵」。老年期では「やせは敵」だ。
老年期になると、食欲が落ち、必要な栄養量を食べることができない人が増えていく。
食べたくても食べられない、太りたくても太れなくなる――
この状態が、老後の健康を大きく左右する。

今のうちに「胃腸を鍛えておく」という発想

もともとやせていて食が細い人は、時々無理して大食いをすることをおすすめします。
中年期までは「デブは敵だ」が正しい考え方ですが、老年期になると「やせは敵だ」が正しい考え方になります。
老年期では、十分に栄養を摂る必要があるのに食欲が出ず、必要量を食べることのできない人が増えていきます。
食べたくても食べられない、太りたくても太れなくなるのです。
そうならないために、今のうちに胃腸を鍛えておくという意味で、時々無理をしての大食い修行をおすすめします。
大食いが可能なうちに胃腸に時々大食いを経験させておくわけです。
なお、既に頻繁に大食いをしている人には、この消化器トレーニングはまったく不要です。

著者が提案するのは、「時々、意識的に食事量を増やしてみること」だ。
これは毎日大食いをすすめているのではない。
胃腸に「たくさん食べる」という経験をさせておくことで、老後の食欲低下に備えるという発想だ。

筋肉と同じように、胃腸も使わないと衰える。
少食のまま年齢を重ねると、いざ食べなければならない状況になっても、体がついてこなくなる可能性がある。
ただし、これはもともと食が細い人への提案であり、すでに頻繁に大食いをしている人にはまったく不要だと著者は明記している。

「食べられる今」を、当たり前と思わないこと

食欲があり、好きなものを食べられる――
その状態が、年齢とともに失われていく可能性があることを、多くの人は意識していない。
「食べられる今」は、実はかけがえのない健康資産だ。

なお、この提案は健康な人を対象としたものだ。
消化器系の疾患や持病がある場合は、食事量を増やすことが体に負担をかける可能性もある。
気になる場合は、かかりつけ医に相談のうえで取り入れてほしい。

今日から試すなら、月に一度、いつもより少し多めに食べる機会を意識的につくることだけでいい。

(本記事は、書籍『医者が教える 栄養学的に正しい最高の食事』をもとに作成しました。本記事は、医師による診断や治療の代わりとなるものではありません。健康状態に不安がある場合は、必ず専門の医療機関を受診し、医師の指示に従ってください。)