そりゃ一流だわ…本物の富裕層があえて「原価100円の手土産」を贈る深い理由写真はイメージです Photo:PIXTA

本物の富裕層が、心から大切に思う相手に贈る手土産――それは、老舗の和菓子でも、産地直送の高級フルーツでもありません。意外かもしれませんが、時に「原価にすれば100円にも満たない」ものを選ぶこともあります。

執事として超富裕層にお仕えしてきた中で、私は何度もこの不思議な光景を目にしてきました。なぜ、何でも買える方々が「100円のもの」を選ぶのか――贈答品慣れした富裕層がたどり着く、ある共通の到達点についてお伝えします。(日本バトラー&コンシェルジュ代表取締役社長 新井直之)

「老舗の桐箱」では
もう心が動かない

 富裕層の手元には、毎日のように手土産が届きます。

 老舗百貨店の包装紙に包まれた洋菓子、桐箱に収められた和菓子、産地名入りの高級フルーツ……贈る側も受け取る側も、その「相場」を熟知しています。

 しかし、数を重ねるうちに、彼らはあることに気づきます。

 どれほど高価なものでも、お店に行けば誰でも買えるものは、結局のところ「どこにでもあるもの」だ、ということです。

 5万円の桐箱と10万円の桐箱の差は、価格表には確かに記されています。しかし、その差が相手の心を動かす差になるかといえば、そうではありません。

 私がお仕えしてきた方々は、数え切れないほどの贈答の中で、その事実を身をもって学ばれてきました。

 そして贈る側としての関心は、「いくらのものを渡したか」から「これは、ほかでは手に入らないものか」へと、静かに移っていきます。贈答の経験が深くなると、多くの人がこの問いへとたどり着くのです。

 では、ほかでは手に入らないものとは何か。何を贈るのか――そこから先が、富裕層の手土産の真骨頂です。