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東海旅客鉄道(JR東海)の2026年3月期の業績は絶好調だった。営業利益、純利益は過去最高を記録している。一方で、工事に遅れが出ているリニア中央新幹線が、財務面にも大きな影響を与えている。リニア建設はJR東海の決算書をどう変えたのか。わかりやすく解説する。(中京大学国際学部・同大学院人文社会科学研究科教授 矢部謙介)
過去最高決算のJR東海
一方でリニア建設は懸念材料
東海旅客鉄道(以下、JR東海)の業績が好調だ。
2026年3月期の営業収益(売上高に相当)は約2兆60億円となり、初めて2兆円を突破した。
特に、新幹線や在来線の運輸収入は約1兆5850億円と25年3月期の約1兆4330億円から約11%増加。大阪・関西万博やインバウンドによる需要の増加が、増収に貢献したという。
それに伴って、利益も大きく増加した。
営業収益から「運輸業等営業費及び売上原価」(通常の損益計算書〔P/L〕における売上原価に相当)と販売費及び一般管理費(販管費)を差し引いた営業利益は約8300億円、親会社株主に帰属する当期純利益(以下、当期純利益)も約5530億円となり、いずれも過去最高を記録した。
このように業績好調なJR東海だが、その一方でリニア中央新幹線(以下、リニア)については、大井川の水資源への影響などにより静岡工区で着工できない状態が続き、品川・名古屋間の開通予定は当初想定の27年から34年以降にずれ込んでいる。JR東海は、静岡工区着工後に開業時期の見通しを示すとしているものの、現時点ではいつ開業できるのか不透明な状況だ。
また、総工事費についても、18年3月時点では5.52兆円を見込んでいたが、難工事などへの対応が必要なことから、21年4月には7.04兆円に増加する見通しであることを公表。さらに、建築コストの上昇やインフレなどの影響から、25年10月には総工事費が11.0兆円になるという見通しを発表している。総工事費の見積もりは、当初想定の約2倍に膨れ上がった。
絶好調の決算の一方で、リニアの工期延長と総工事費の膨張は、JR東海の今後に関する懸念材料といえる。
そこで今回は、JR東海の決算書(貸借対照表〔B/S〕、P/L、そしてキャッシュ・フロー計算書〔CF計算書〕)を取り上げ、JR東海の好調決算の理由と、リニアが決算書に与えた影響、そして将来の業績にどのようなリスクが潜んでいるのかを解説していこう。







