今回は、半導体業界の注目企業、ルネサスエレクトロニクス、米エヌビディア、台湾TSMCについて、各社の戦略の違いを決算書から読み解く。まずは、社会人なら読めるようになっておきたい貸借対照表(B/S)の基本について分かりやすく解説する。企業の買収ニュースでよく聞く「のれん」が計上される仕組みについても押さえておこう。(中京大学国際学部・同大学院経営学研究科教授 矢部謙介)
ルネサス、エヌビディア、TSMC
決算書の特徴を徹底解説!
今回は、半導体業界からルネサスエレクトロニクス(以下ルネサス)、米エヌビディア、台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング・カンパニー(以下TSMC)の3社の決算書を取り上げて比較してみよう。
ルネサスは、三菱電機と日立製作所から分社したルネサステクノロジと、NECから分社したNECエレクトロニクスが2010年4月に経営統合して生まれた会社だ。
設立直後は赤字が続き、13年9月には産業革新機構の傘下となり事実上国有化されたものの、その後構造改革に成功。23年11月には産業革新機構の後継会社であるINCJが保有株式の全てを売却したと発表した。
近年、ルネサスは積極的なM&Aを仕掛けている。