「仕事のキャパが10倍になった」「悩む時間が圧倒的に減った」
そんな感想が届いているのが、木下勝寿氏のベストセラーだ。なかでも「【ピッパの法則】が使える!」という感動の声とともに、ニトリ似鳥会長や食べチョク秋元代表から「ビジネスパーソンが一番読むべき一冊」と絶賛されているのが、『時間最短化、成果最大化の法則』だ。ライターの樺山美夏氏に、本書から「上司の評価が劇的に変わる質問法」を鋭く読み解いてもらおう。(構成/ダイヤモンド社・寺田庸二)

上司の評価が劇的に変わる質問法・ベスト1Photo: Adobe Stock

新しいバナーで赤字転落

ある会社が、売上が落ちてきたサービスのバナー広告を変更することになった。

デザイナーから複数の案を見せられたとき、営業リーダーは
「これが一番刺さる気がする」
「このシンプルなデザインは間違いなくターゲットに響くはずだ」
と判断したものを選択した。
長年の営業経験から来る確信があったようで、チームメンバーは黙って従った。

早速、新しいバナーを走らせたが、申込みは増えるどころか減り続けて赤字に転落した。

社長から「なぜそのバナーを選んだのか」と問われたが、「自分はこれが一番刺さると思ったので」と主観でしか伝えられず、具体的な根拠を示すことができなかった。

その後、営業リーダーは申込みにいたらなかった見込み客に失注理由をヒアリングし、その意見をもとにバナーを改善。
色やコピーなど異なるパターンをいくつか短期間で走らせ、CTR(クリック率)、CPA(顧客獲得単価)、ROAS(費用対効果)で比較して、数値的にもっとも効果が高いバナーで、リード獲得数は前期の3倍になったという。

数値化マインドをインストールするには

主観や感性の言葉は他人に伝わりにくい。
自分にとっては、どれほど確かな直感でも、他人はまったく別の人間だ。

数字に置き換えられなければ、他人の頭ではイメージできない。
逆に、数字に変換された瞬間、相手は自分の頭で検証できるようになるのだ。
本書ではそのことを、次のような具体例で示している。

ここで、発注ロットの計算問題を用意した。

【練習問題】
単価500円のある商品が2000個必要なので発注しようとしたら、取引先から「2500個発注してくれたら単価450円にしますよ」と言われた。
どんなふうに考えたらいいだろうか?


こういうとき、上司に「どうしますか」と判断を任せきりにする人と、「こういう計算結果になりましたので、こうしましょう」と自ら計算してから判断を仰ぐ人に分かれる。

もちろん、評価されるのは後者だ。
では、どう計算するか。

単価500円×2000個=総額100万円
単価450円×2500個=総額112万5000円

つまり2500個発注した場合、必要な2000個は500円で、追加の500個分が12万5000円で買えるということになる。


すると、追加分の500個分の単価は、
12万5000円÷500個=単価250円
である。まずはここまで計算する。

今回の場合、必要なのは2000個だ。
安いからといって500個多く買っても、売れ残って破棄すれば結局損になる。
では、あと何個まで売れる必要があるのだろうか。

500個分は250円といつもの半値なので、仮に半分の250個を不良在庫として破棄することになっても、単価500円で追加250個仕入れたのと変わらない。
もし250個分が売り切れるなら、買ったほうが得になる。

なので、その商品があと250個以上多く売れる見込があれば、2500個で買ったほうが得だし、250個以上売れる見込がない場合は不良在庫となり、損失になる。
そこで上司に相談するときに、こう言ってみる。

「あと500個分が半額の250円で手に入りますが、半分の250個以上売り切ることができれば損は出ません。
営業部の予測では○月○日までにプラス250個は売れるということなので買ったほうがいいと思いますが、よろしいでしょうか?」

日常業務で起きることを、常に自分の頭で数値化しながら考えてみよう。

――『時間最短化、成果最大化の法則』より

直感と数字は対立しない。直感は仮説を生む力であり、数字はその仮説を相手に渡せる形に変換する力。両方持っている人間がもっとも強いのだ。