「悩む時間が圧倒的に減った」「仕事のキャパが10倍になった」
そんな感想が届いているのが、木下勝寿氏のベストセラーだ。なかでも「【ピッパの法則】が使える!」という感動の声とともに、ニトリ似鳥会長や食べチョク秋元代表から「ビジネスパーソンが一番読むべき一冊」と絶賛されているのが、『時間最短化、成果最大化の法則』である。今回はライターの樺山美夏氏に、本書から「一流が大切にしているもの」について読み解いてもらおう。(構成/ダイヤモンド社・寺田庸二)

一流が大切にしているのは「上達」と「成長」どっち?Photo: Adobe Stock

思い込みが成長の傷害になる

「自分は数字が苦手だから、企画や感性を活かす仕事が向いている」
「自分は人前で話すのが得意じゃないから、裏方に徹したほうがいい」
「自分はマネジメントより現場のほうが合っている」

こうした自己認識を持っている人は多い。
これらは自己理解として有効な場合もあるだろう。
しかし問題は、この思い込みが成長の傷害になることだ。

「自分はこういう人間だから」という前提ができてしまうと、それに合う仕事しか引き受けたくなくなる。

苦手を克服しようとせず、違和感のある仕事はできるだけ断る。
上司からアサインされた仕事でも、「これは自分には向いていない」という感覚で受け身になってしまう。

その結果、当然ながら、与えられた仕事の中でしか動けない人間になっていく。
もちろん、ルーティンの精度は上がるだろう。
しかし使えるスキルは増えず、視野も狭いままで、キャリアの幅も広がらない。
気がつけば同期に追い抜かれ、いつの間にか、自分という井戸の中だけで上手に泳ぐことを覚えた蛙になっている。

得意なことだけをやっていれば評価されるし、失敗も少ない。しかし、井戸の中で上達し続けても、外の広さには気づけない。

思い込みを捨てると、自分の眠っている才能に気づく

大谷翔平は、「自分は投手か打者か、どちらかに絞るべき人間だ」という常識の枠を捨てた。

「二刀流は無理だ」という周囲の声を跳ね返し、理想の自分から逆算して自分をつくり続けた。結果、前例のない選手になった。

これは特別な天才だけの話ではない。
苦手だと思っていた数字に向き合ってみたら、意外と面白かった。
人前で話すのが怖かったが、場数を踏んだら慣れてきた。
マネジメントは向いていないと思っていたが、やってみると自分の別の側面が引き出された。

そういう経験がきっかけで成功した人に、私は数え切れないほど取材してきた。

「自分はこういう人」というフレームを外したとき、人はスポンジのように情報を吸収し始める。

真の成長とは?

自分には関係ないと遮断していた知識が、急に自分事になる。
避けていた経験が、一気に栄養になる。著者はこの状態を「真の成長」と呼び、上達との違いをこう整理している。

与えられた仕事の枠内でスキルを上げるのは「上達(今の自分の延長)」。
対して「成長」とは、自分のプライドや過去のこだわりを【潔く捨て去り、変化して別人になること】。

成長を阻んでいるのは、他でもない
「今の自分へのこだわり」。

今の自分を維持したまま変わりたいという矛盾を捨てる。
今までの武器を手放す勇気が、成長の邪魔を取り除く鍵だ。

今の自分から「理想の自分」になるためには、
何が成長を邪魔しているのかを検証しつつ、
自分の思い込みや心のしがらみを捨てることが大切だ。
――『時間最短化、成果最大化の法則』より

「上達」は安全だ。今の自分の枠の中で磨き続ければいい。

しかし「成長」には怖さが伴う。
今の自分を一度手放す必要があるからだ。
得意なことしかやらない、という防衛線を引き払い、「自分はそういう人間だ」という思い込みを疑うことから始まる。
それは決して「今の自分を否定する」ことではない。
今の自分が積み上げてきたものを土台にしながら、そこに縛られない、というワクワクする選択なのだ。