あの人の方が仕事ができる。あの人の方が評価されている。気づけば誰かと自分を比べて、落ち込んでいる――そんな瞬間に、哲学者ショーペンハウアーはこう言う。「自分は誰かと比べて劣っているなどということはない」と。
IVEチャン・ウォニョン氏や俳優ハ・ソクジン氏の愛読書と話題となり、韓国で262刷、60万部を超え、「哲学ブーム」の火付け役となった書籍『求めない練習 絶望の哲学者ショーペンハウアーの幸福論』から人生のヒントを探る。

【哲学】他人に言われたことでなく、自分が望むことをするとき、人間は幸福になる。

「比べる」ことに、そもそも意味はあるのか

学歴、収入、容姿、評価――
比べようとすれば、いくらでも比べられる。
そしてほとんどの場合、比べた結果は自分の方が足りないという感覚だ。
しかしショーペンハウアーは、その比較の前提そのものを疑う。

人間は、各自の個性がまったく異なる存在だ。
違う個性を持つ者同士を比べることは、そもそも成立しない。
リンゴとオレンジのどちらが「優れているか」を競っても意味がないように、あなたとあの人を同じ軸で測ることには、根拠がない。

「個性が違う」ことが、人間を最も高い段階の存在にする

他人の評価に振り回されそうになったら、思い出してほしい。
―― 自分は誰かと比べて劣っているなどということはない!
ショーペンハウアーによれば、人間は他の生物と同じく、生きたいがために生きる受動的存在ではあるが、この世で最も個性が明確な能動的存在でもある。各自の個性が違うからこそ、人間はこの世で一番高い段階の存在なのだ。
他人に言われたことでなく、自分が望むことをするとき、人間は幸福になる。
他人と違った自分だけの色を探すこと、誰かが選んだ道ではなく、自分だけの道を行くこと。それこそが、幸福へと続く道なのである。

著者が示す視点は、単なる励ましではない。
各自の個性が違うからこそ、人間はこの世で最も高い段階の存在だ――という哲学的な根拠に基づいている。
画一的な存在ではなく、それぞれが異なる個性を持つからこそ、人間は唯一無二の存在になれる。

問題は、その個性を活かす方向ではなく、他人の個性と比較して「足りない」と感じる方向に意識が向いてしまうことだ。
比べることをやめた瞬間、「自分だけの色」を探す余地が生まれる。

「他人に言われた道」より「自分が望む道」を歩くとき、人は幸福になる

著者が示す幸福の条件は、シンプルだ。
他人に言われたことでなく、自分が望むことをするとき、人間は幸福になる。
「何をすべきか」ではなく「何をしたいか」――この問いの向け先を変えるだけで、人生の手触りが変わる。

誰かが選んだ道を正解として追いかけ続けることは、自分の個性を消すことと同じだ。
他人と違う自分を「欠点」ではなく「個性」として受け取ること――
それが、ショーペンハウアーが示す、幸福へと続く道の入口だ。

今日から試すなら、誰かと自分を比べたとき「私とあの人は違う個性を持っている」と言い換えることだけでいい。

(本記事は『求めない練習 絶望の哲学者ショーペンハウアーの幸福論』をもとに作成しました)