市販品メーカーが「高品質なシャンプー」を
作れない納得の理由

 では、なぜ市販品メーカーは、良質な「アミノ酸系」を使うなどして「多少値段が高くても品質が良い」シャンプーを売り出さないのでしょうか。

 その理由は「安い商品の方が手に取ってもらえるから」です。ドラッグストアに陳列されたシャンプーは、常に他社との価格競争にさらされています。

 ドラッグストアの店頭では、お客さんに使い心地を体感してもらうことは現実的に不可能です。その状況下で、競合製品との違いを分かりやすくアピールする最大の方法は、やはり「安くすること」なのです。

 ちょっとでも一般消費者に「高いな」と思われた商品は、買って試してもらう機会すら与えられず、競争に負けてしまいます。

 一方で、競合他社が似たような低価格帯の商品を投入してきた場合は、価格以外の「イメージ戦略」が勝敗を左右します。

 その一つがパッケージのデザインです。メーカー各社は、使い心地が一目で分かるよう工夫したり、髪や頭皮にプラスになる要素を惜しみなくアピールしたりすることで、消費者に強みが伝わりやすいようにしています。

 テレビCMの効果も絶大です。旬の俳優が花を添えるCMは、一般層に圧倒的な認知度を獲得できるため、莫大な費用を投じて放映されます。

 コピーライティングも同様です。「ノンシリコン」「オーガニック」「ボタニカル」といった名前を冠したシャンプーは、たとえ市販品でも、消費者に「天然由来の成分が使われており、髪や頭皮にやさしい」といった印象を与えます。

 それらの効能についてはここでは割愛しますが、このような広告文の作成にも、メーカーは多大な予算を投じ、緻密な戦略を練って実行しています。

 一連の広告宣伝費がかかる中で、メーカーはシャンプーを“安く売って”利益を出さなければなりません。これらの事情から、市販品はサロン専売品と比べると、原材料にかけられるコストに制約が生じているのです。

 一方、サロン専売品は、巨額のコストを投じてテレビCMを打ったり、お洒落なパッケージにしたりする必要はありません。あくまで品質勝負となります。

 こうした内情を知っているからこそ、筆者が知る限り、市販品を「自分用のシャンプー」として普段使いしている美容師はほぼいません。