人の話を最後まで聞く力は、友達との関係や学校生活だけでなく、大人になってからも欠かせない力の一つだ。しかし、子どもは「聞きなさい」と言われただけで身につくものではない。では、親はどのように関われば、「聞く力」を育てられるのだろうか。本記事では、教育評論家の親野智可等氏に「子どもの『聞く力』の育て方」について話を聞いた。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局・佐藤里咲)

「人のはなしをよく聞ける子ども」の親が教えていること・ベスト1Photo: Adobe Stock

話を最後まで聞けない原因

――話を最後まで聞けず、途中で口を挟んでしまう子どもは多いですよね。親は「人の話の聞き方」をどのように教えたり、注意したりするべきなのでしょうか?

親野智可等氏(以下、親野) まず親は、「なんで子どもは人の話を聞けないのか」ということを理解しておく必要があります。

脳科学的に言うと、理由は二つあります。

一つはワーキングメモリーがまだ不足しているからです。
例えば、相手が話しているときに「これは言いたい!」ということが出てきたとします。
でも子どもはワーキングメモリーが不足しているので、それを覚えておくことができないんです。
覚えておくことができないから、後から言うことができない。

だから、とりあえず先に言ってしまいたくなるんですよね。

二つ目の理由として、前頭葉が十分に発達していないことが挙げられます。
前頭葉には、暴走した感情を抑えるという役割があるんです。
ところが、子どもはまだ前頭葉が十分に発達していないため、それをうまく抑えきれません。

だから、「喋りたい、喋りたい」という気持ちが強くなると、その気持ちはもう抑えきれないんです。
大人なら我慢できる場面でも、子どもにはそれがなかなか難しいんですね。

成長するにつれて、ワーキングメモリが充実してきて、前頭葉が発達してくれば、これも自然に抑えられるようになります。

そういう意味では、子どもの自然成長を待つという視点もある程度大事かなと思います。

――子どもが話を最後まで聞けないのは、脳の発達の影響もあるんですね。

親野 そうそう。
だから、人の話をしている途中でどんどん話し始める子を見ても、「わがままだ」と思う必要は全然ないんですよ。

親子間であれば、子どもが会話を遮ったとしても、話を聞いてあげていいんじゃないかと思うんですよ。

例えばママが話している途中に子どもが話してきても、「あ、そうなんだ」「面白いね」と共感的に聞いてあげる。そうすると子どもは結構満たされるんです。

そのうえで、「じゃあ今度はママが話すから聞いててね」と切り替えてあげる。
そういう経験を積むことで、だんだん聞けるようになっていくと思うんですね。
あまりそこにこだわりすぎて厳しく叱ると、逆によくないんじゃないかなと思います。

――たしかに、話すこと自体に恐怖を持ってしまうとよくないですもんね。

親野 そうなんです。ですから、過度に心配しなくていいですよ。ワーキングメモリも前頭葉も、年齢とともに育ってきますから。

親の「話を聞く態度」も重要

親野 それから、もう一つすごく大事なのは、日頃から親が子どもの話をしっかり聞いてあげることです。
子どもが、「今日学校でね」「幼稚園でね」と話したときに、スマホを見ながら、「へえ、そうなんだ」という聞き方ではダメです。

ちゃんと子どもの話を聞いて、「そうだったの」「それは大変だったね」「嫌だったね」「面白かったね」と共感的にたっぷり聞いてあげる。
そうすると子どもはたくさん話せるし、親の聞き方を覚えて真似するんですよ。
そうすると今度は、友達や先生が話したときにも、同じような聞き方ができるようになります。

だから、まずは親が子どもの話を共感的に十分聞くこと。これがとても大事なんですね。

まいにちがたのしくなるおやくそく できるかな?』にも「ひとのはなしをよくきこう」という項目がありますね。このページをみて、どんな風にお友達の話を聞けばいいのか、親子で確認してみてもいいでしょう。

「人のはなしをよく聞ける子ども」の親が教えていること・ベスト1『まいにちがたのしくなるおやくそく できるかな?』より引用
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・はなす ひとの めを みよう。
・あいての はなしを きくときは うなずいて あげよう。
・はなしを きいたら へんじを しよう。
 「へえ、すごいね!」
・あいてが どんな きもちか そうぞうしながら きこう。
 「とても うれしかったんだね」

『まいにちがたのしくなるおやくそく できるかな?』より引用

親野 食事のマナーなど、他のしつけに関してもそうですが、結局、子どもは親の姿を見て学びます。
だからこそ、まずは親が子どもの話を正しい態度で聞いてあげる。
これが必要だと思いますよ。

(本記事は『まいにちがたのしくなるおやくそく できるかな?』の発売を記念したオリジナル記事です)