京セラ創業者の稲盛和夫氏 Photo:SANKEI
「運がいい」とは、どういうことか。運は人生で重要なのか。運がよくなるためには何をすればいいのか。経営の神様と呼ばれる京セラ創業者の稲盛和夫氏は、大学を出て最初に入った会社では「ツキがなかった」と語るが、運をよくする方法とは?経営者向けの講演で、稲盛氏が語った「運」の話とは――。(イトモス研究所 小倉健一)
「ツキがなかった」
ずっと赤字続きで不運な職場
運がいいとはどういうことか。たいていの人は、それを偶然の巡り合わせだと考えている。良い時代に生まれ、良い会社に入り、良い上司に巡り合う。その積み重ねが人生の明暗を分けるのだ、と。
だが経営の神様と呼ばれた稲盛和夫が若き日を振り返って語った話(『賢く生きるより辛抱強いバカになれ』稲盛和夫・山中伸弥共著)を読むと、その理解がいかに浅いかを思い知る。
京セラを一代で築いた稲盛が、大学を出て最初に入った松風工業は、絵に描いたような不運な職場だった。会社は戦後10年ずっと赤字続きで、給料日がきても支払いを1週間待たされる。同期の4人は集まると会社の悪口を言い合い、1人また1人と辞めていった。
残ったのは稲盛ともう1人。逃げ場を求めて自衛隊の幹部候補生学校を受け、2人とも合格する。ところが入隊に必要な戸籍謄本を、稲盛の兄が「1年もたたずに辞めるとはけしからん」と送ってくれなかった。同期は去り、稲盛だけが会社に取り残された。
普通なら、これは不運の極みだ。仲間は去り、不平を言う相手すらいなくなった。稲盛も「ツキがなかった」と述懐している。だが稲盛はここで奇妙な選択をする。本人の言葉を借りればこうだ。







