真面目な経営者まで排除
失墜する信頼

 知人の行政書士は「明確な基準があれば、事業者側も対策できるが、現場ではどこまで準備すればよいのかがわからなくなっている」と話す。

 制度上は経過的な取り扱いが示されている。すでに「経営・管理」で在留している人については、施行日から3年間は、経営状況や新基準に適合する見込みなどを踏まえて判断されるとされている。

 それでも当事者の間では「新基準に適合する見込みはどうやって判断されるのか」「更新時にどこまで新基準を求められるのか」という不安が消えないのである。

 外国人経営者の相談に応じている行政書士の山田恭永氏はインタビューの中で「昨年10月16日以降、既に社会保険料の納付状況や、事業所と自宅の住所が同じかどうかなどが厳しくチェックされ、『経営・管理』が不許可になる事例も出てきています」と注意喚起している(全国商工新聞 4月20日)。

 これは、筆者が当事者たちの話を聞いた感覚とも一致する。これまで「経営・管理」ビザを更新できていた人が突然、不許可となる事例が増えたと感じている中国人は少なくない。「3年間の経過措置」とは一体何なのか。このような法律の運用をされると、多くの外国人経営者は政府を信頼することが難しくなってしまうだろう。

「経営・管理」ビザの更新をめぐって、筆者がたびたび耳にしたのが、中国語の「一刀切」という言葉だった。日本語にすれば「個別事情を見ずに、一律に切り捨てる」といった意味である。

 もちろん、制度を悪用した人まで守るべきだと言いたいわけではない。しかし、真面目に事業を営み、納税し、地域で生活してきた人まで同じように扱われているのではないか。

 また、以前は「3年」の在留期間が認められるケースが一般的だったが、昨秋の基準厳格化の前後から、そのほとんどが「1年」へと短縮されている。まともに事業を営む者であれば、中長期的な視点なくしてビジョンを描き、展開していくことの困難さは容易に理解できるだろう。「毎年の更新に怯える不安定な状況下で、果たして腰を据えた経営など可能なのか。何より、この状態では銀行融資すら受けられない」といった悲痛な叫びが、現場のあちこちから漏れ伝わってくる。

 在留資格は、単なる書類上の許可ではない。その後ろには、生活があり、家族があり、子どもの学校があり、積み上げてきた仕事がある。

 厳格化が必要だからこそ、どの基準に照らして、何が足りなかったのかを当事者が理解できる運用が求められる。そうでなければ、制度への信頼は失われていく。

 不正を排除することと、真面目に暮らしてきた人を不安に追い込まないこと。その両立ができなければ、「外国人いじめ」のそしりを免れないだろう。