中国が背負った一人っ子政策の代償は深刻だ Photo:SPUTNIK/時事通信フォト
急速な少子高齢化が進む中国で、習近平政権が全国規模の「介護保険制度」導入を発表しました。本来なら高齢化社会を支える画期的な新制度として歓迎されるはずですが、SNS上では国民からの大ブーイングが巻き起こっています。なぜ中国国民は新制度に猛反発しているのでしょうか?その背景には、現役世代を絶望させる残酷な格差と、政府が過去に国民と交わした“ある約束の裏切り”が隠されていました。(日中福祉プランニング代表 王 青)
「第六の保険」導入へ
中国の深刻な介護事情
3月下旬、中国政府は、今後3年間を目途に「長期介護保険制度」(以下「長護険」)を全国規模で本格的に導入すると発表した。これは、急速な少子高齢化が進む中国において、介護問題への対応が待ったなしの状況にあるためだ。
今回の「長護険」は、習近平政権が掲げる「高齢化に積極的に対応する国家戦略」の一環として位置づけられている。つまり、地方政府の試験的な福祉政策というレベルではなく、習近平体制のもとで全国民を巻き込む新たな社会保障制度として本格導入されるものなのである。
中国は毎年約1500万人規模で高齢者が増え続けており、現在65歳以上の人口は日本の総人口の2倍近くに相当する2.2億に達した。これは全人口の15.9%を占める。要介護の高齢者は3500万人にも上る。経済が発展して都市化が進んだことで家族構成も変容した。伝統的な家族による介護が物理的に不可能となっている。
近年、「一人失能、全家失衡」(一人が病気や要介護となったら、家庭全体の生活基盤が崩れる)という言葉が広く使われており、「介護難民」や「老老介護」も深刻化している。政府にとって介護制度の整備は急務となった。







