「職場で居場所がなくなる人」がつい口にしてしまうひとこと〈風、薫る第65回〉

なぜ直美は軍人と縁があるのか

 さて。病院。

 生徒たちは、りんと直美(上坂樹里)の正反対の個性に翻弄されていた。

 りんのように患者の願いをなんでも聞いていたら時間がかかるし、女中のようになってしまう。かといって、直美は要領を優先するため、ちょっと雑で後でやり直しになることもある。また誰に対しても言い方がきつい。

 やさしさもきつさも「どっちも大事だよ」とツヤがフォローする。現場で臨機応変にどちらのカードを切るかその都度判断する必要があるのだ。

 生徒たちの自分たちの評判を立ち聞きしてりんは動揺するが、直美は動じない。

「私たちだって、バーンズ先生のこと、文句言ってたじゃない。聞いてもいいことない」

 ここは直美の言うことに一票入れたい。

 直美は再び、軍人・小川吾郎(甲斐翔真)と会う。彼の友人はお酒以外なら何を口にしてもいいほどに回復していた。

 今日は口調が穏やかな直美に、小川も礼儀正しく謝罪する。

「お若いのに一番階級の上で」とさすが軍人。階級制度に忠実だ。小川は近衛歩兵第三連隊二等軍曹。
直美はなんだか疑わしそうな目で小川を見る。

「ちょっと軍人さんにはちょっと……」

 昔、寛太(藤原季節)にこっぴどく騙されたから、軍人さんに警戒心がわくのだろう。

 直美と軍人、なぜ、ご縁があるのか。

 それは、おそらく、直美を描くうえで参考にした人物・鈴木雅の結婚相手が陸軍少佐の鈴木良光だったからだろう。

 史実を予習している視聴者的には軍人が出てくると、お、この人がのちに直美の相手役になるのかなと
想像をめぐらす。小日向こと寛太は偽軍人で、直美共々まんまと騙されたが(なかには偽軍人と見抜いていたツワモノ視聴者もいるようだ)、本物の軍人らしい小川はどうだろう。