自発的に考えてほしいという思いから「まずは自分で考えてみて」と伝えても、部下がフリーズしてしまう――そんな経験はないだろうか。自発性を引き出すには、別のアプローチが必要だという。

仕事ができる人は「自分で考えて」と言わない。ではどう言う?

「自分で考えて」では、部下は動けない

自発的な部下を育てたいと考えたとき、
多くの上司がまず試みるのは、考える余白を大きく与えることだ。
「新商品の企画書、まずは自分で考えてつくってみて」というように、
あえて細かい指示をせず、部下自身の発想に任せようとする。

しかし、この丸投げに近い指示を受けた部下は、
何から手をつけていいかわからず、結果的に思考が止まってしまうことが多い。
範囲が広すぎる問いを与えられると、考える起点すら見つけられなくなってしまうのだ。

「範囲を限定する」ことが、思考のきっかけになる

自発的な部下を育てるためには、どうすればいいのでしょうか?
答えは、「考える範囲を限定すること」です。
【実践例:新商品の企画書作成】
×丸投げ:「新商品の企画書、まずは自分で考えてつくってみて」
→部下は何から手をつけていいかわからず、フリーズします。
○範囲限定:「企画全体の構成は私がつくる。君には、商品イメージ図を、若者向けとシニア向けの2パターンで考えてみてほしい。それと、20代に刺さるキャッチコピーを5つ考えてきてくれ」
いかがでしょうか。
「商品イメージの2パターン」と「キャッチコピー5つ」。
ここまで範囲が限定されると、部下は「それなら考えられそうだ」と脳を動かし始めます。
「範囲を限定する」ことは、過保護ではありません。

著者が示す解決策は、「考える範囲を限定すること」だ。
企画全体の構成は上司が担い、部下には、
「商品イメージ図を、若者向けとシニア向けの2パターンで考える」
「20代に刺さるキャッチコピーを5つ考える」といった、
具体的で範囲の絞られたタスクを渡す。

「商品イメージの2パターン」「キャッチコピー5つ」というように、
考える対象と量がはっきりと示されると、
部下は「それなら考えられそうだ」と感じ、自然と思考を動かし始める。
広すぎる問いを絞り込むことで、考えること自体への心理的なハードルが下がっていく。

「範囲限定」は、過保護ではなく適切な設計だ

範囲を限定することに対して、「自分で考える力を奪っているのではないか」と感じる上司もいるかもしれない。
しかし、著者はこれを過保護だとは捉えていない。
むしろ、思考のスタートラインを適切に設計することは、
部下が自分の頭で考え、答えを出すという経験を積むための、必要なサポートだと言える。

最初から広い範囲を任せて思考停止させてしまうよりも、
小さく区切られた範囲の中でしっかりと考え、形にする経験を積むことの方が、
結果的に自発性を育てることにつながっていく。
部下に新しいタスクを任せるときは、「自由に考えて」と伝える前に、
考えるべき範囲をどこまで具体的に示せるかを、まず意識してみることが大切だ。

次に部下に企画や提案を任せるとき、「自由に考えて」ではなく「ここからここまでを考えてほしい」と範囲を示すことだけでいい。

(本記事は、書籍『コンサル時代に教わった 仕事ができる上司の当たり前』をもとに作成しました)