厚生労働省は、各県と再生プランの内容を事前に協議した。それにもかかわらず、プラン提出後に事業の内訳金額と積算根拠を求めるオソマツさ
撮影:福本敏雄

 大混乱のなか、再生プランの作成は急ピッチで進められていたが、政権交代により、さらなる波乱が起こる。再生プラン提出の締め切りが近づいた10月9日、厚労省は補正予算の見直しの一環として、100億円プランの執行停止を決定。エリアごとに支給する交付金の金額をすべて25億円に統一し、基金の総額を2350億円まで減額したのだ。

 100億円の獲得を目指していた自治体は、交付金の減額で再生プランの練り直しを迫られた。だが、提出の締め切りは、わずかに3週間延びただけである。

5億円のプランも内訳と積算根拠なし

 11月6日、再設定された再生プランの締め切り日を迎えた。

 そもそもの期間設定に無理があったところに、無理を重ねて新たな再生プランはつくられた。

 今回、各都道府県は、「専門医の確保」「急患センターの新築」「検査装置の導入」など、さまざまな事業計画を提出。だが、再生プランの書面には、2億円、3億円はおろか、5億円を超える事業でも、その内訳金額と積算根拠が示されていないケースがいくつもあった。「国からは事前にお墨付きを得ている」とある県の担当者は説明するが、内訳金額や積算根拠なしに、計画が妥当かどうか、まともな審査ができるはずもない。なかには「積算根拠なしの事業もある」と認めた県もあった。

 再生プランの中身にも疑問符が付く。今回、多くの都道府県が医師の確保に向けて、大学への「寄付講座」を予定している。講座を担当する指導医と研修医を囲い込んで、地域の病院で研修と診療を行なってもらう目論見だ。交付金は、その人件費や研修センターの建設などに使われる。

 だが、「組織として協力すると言われている」「各大学の了解はこれから」と、協力してくれる大学と人数の確約を得ぬまま提出された寄付講座のプランも少なくない。

 そもそも、寄付講座を使った医師の囲い込みにしても、その効果を認める関係者は皆無に近い。「医師引き揚げの抑止力」(関係者)というのが関の山だろう。

 いくら再生基金で医療の機能や体制を整備しても、医師が揃わなくてはムダガネに終わる。

 地域医療の再生を目指すという大義名分があるこの基金だが、制度自体への疑問の声も上がっている。「東京と地方の県が同じ50億円の交付金でいいのか。もっとメリハリをつけるべき」(ある病院の事務局長)。