インド株市場の誤解と見通しについて語るプラシャント・コタリさんPhoto by GION
技術の応用で勝つのがインド企業
今仕込むべき4つの業種と注目銘柄
――「AI時代に負けるのではないか」という市場の懸念については、どう見ていますか?
プラシャント それこそ、大きな誤解です。確かにインドには、台湾のTSMCや米国のエヌビディアのように、AIの進化をハードウェア面で支えるような半導体大手はありません。しかし、インド企業の本当の強みは「AIの技術を使って新しいサービスを応用・構築すること」にあります。過去を振り返ってみても、インドはインターネットや携帯電話を発明しませんでしたが、それらの新しい技術をどこよりも早くキャッチし、世界最大級のITサービス産業を築き上げました。AIでも全く同じことが起きると予想しています。
インドには毎年数百万人ものSTEM(理系)卒業生を輩出する大学ネットワークがあり、それが世界最大のデジタル人材の供給源となっています。11歳の小学生からすでにAI教育を導入しているほどです。半導体株を中心としたAI熱狂が一巡すれば、インドはAI技術を最も使いこなす国として見直されるはずです。
――誤解が解けると、インド株への期待が高まります。具体的にどの分野のどんな銘柄に注目していますか?
プラシャント インドの構造変化を捉える4つの業種に注目しています。
1つめは「金融」です。インドは2021~2047年の間に高所得者層が8倍に膨れ上がり、中間層も倍増する予測です。高所得者の比率が高まることで、これまでの「ただ現金を貯める」から「資産を運用する」というトレンドがますます強まるでしょう。個人の運用資産は今後10年で3兆ドルから9兆ドルへ拡大する見込みです。
この恩恵をダイレクトに受けると見られるのが、インド最大の富裕層向け資産管理会社「360 One Wam Limited(360 ONE)」です。スイスの金融大手UBSも5%出資しており、しっかりとした経営基盤で激増する富裕層の資金を囲い込んでいます。
2つめは「ヘルスケア」。インドは人口に対する病床数が圧倒的に不足しており、信頼できる総合病院チェーンが未整備です。そんな中、これからの医療インフラの主役として期待されるのが、「マックス・ヘルスケア・インスティテュート(MAXHEALTH)」。インド第2位の病院チェーンで高い稼働率と利益率を誇ります。また、今後5年間で病床数を倍増させる成長ロードマップを持っています。
3つめは、AI関連株です。具体的には「データセンター」などが挙げられます。インドでデータセンターを建設するコストは米欧や日本の半分以下で、建設拠点として有力な候補となっています。注目銘柄は、データセンターのバックアップ電源(大型ディーゼル発電機)で、高いシェアを持つ機械大手の「カミンズ・インディア(CUMMINS)」です。今後5年でカミンズのデータセンター向け売上高は10倍に跳ね上がると予想されています。
最後4つめは、「ジュエリー」です。豊かになったインド国民による消費の拡大が見込まれます。中でも注目している銘柄が、「タイタン(TITAN)」です。従来の伝統的な個人経営の宝飾店は品質への不信感がありましたが、それを組織的かつ洗練された近代経営で打破しています。築き上げたブランドの信頼を武器に、過去5年で市場シェアを倍増させています。
富裕層の拡大、医療の近代化、データセンターの増加、ブランドへのシフト――。こうした変化を見れば、インドの成長ストーリーは健在といえるでしょう。一時的な市場の誤解で株価が足踏みしている今こそ、割安になった優良株を仕込む絶好のチャンスだと捉えています。
※記事内で紹介されているインドの注目銘柄(360 ONE、MAXHEALTH、CUMMINS、TITAN)は、日本の証券会社から直接購入することはできません。これらの銘柄への投資を検討される場合は、当該銘柄を組み入れている投資信託やETF(上場投資信託)などを通じて間接的に投資する形となります。
本記事は2026年6月27日時点で知りうる情報を元に作成しております。本記事、本記事に登場する情報元を利用してのいかなる損害等について出版社、取材・制作協力者は一切の責任を負いません。投資は自己責任において行ってください。








