2024年末の上場初日、メモリ大手のキオクシアホールディングスは公開価格を割り込む冴えないデビューとなった。ところが、それからわずか1年半で株価は公開価格比で64倍に急騰。トヨタ自動車を抜き去り、時価総額で日本企業トップの座に躍り出た。かつて赤字に苦しみ、“負け組”と見られていた半導体メーカーは、なぜ日本一の企業へと駆け上がることができたのか。そして、株価はどこまで上がるのか。半導体・メモリ業界に詳しい2人のプロが、キオクシアホールディングス躍進の理由と今後の見通しを徹底解説する。(今村光博、ダイヤモンド・ザイ編集部)

※株価や時価総額、業績データは2026年6月23日時点。企業名の後の( )内は証券コードまたはティッカー。

わずか1年半前に上場した企業が
トヨタを抜き、時価総額で日本一に!

(写真:キオクシアホールディングスHP)画像:キオクシアホールディングスHP

 2026年6月12日に日本の株式市場で大きな変化が起こった。NAND型フラッシュメモリを展開するキオクシアホールディングス(285A)の時価総額が約44.3兆円に到達し、日本企業の頂点に君臨し続けてきたトヨタ自動車(7203)の約43.8兆円を抜き去り、時価総額首位に立ったのだ。この日の終値は前日比7.6%高の8万1200円で、売買代金も、個別企業として過去最高を記録した。日本を代表する企業の座が、自動車メーカーから半導体メーカーへと移った瞬間だった。

上場からわずか1年半で、株価は64倍へと急騰。2026年6月12日には時価総額は44兆円に達し、トヨタ自動車を抜き去って、日本企業トップの座に躍り出た。チャート提供:マネックス証券上場からわずか1年半で、株価は64倍へと急騰。2026年6月12日には時価総額は44兆円に達し、トヨタ自動車を抜き去って、日本企業トップの座に躍り出た。チャート提供:マネックス証券
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 だが、本当の驚きはここからだ。上場からわずか1年半で日本一に躍り出たキオクシアホールディングスの株価は、この先どうなるのか。投資家にとって最大の関心事だ。その答えを探るべく、半導体業界に精通する2人のプロを直撃すると、2人の見立てはいずれも「強気」だった。

(話を聞いたのは)
内藤証券 シニアアナリスト高橋俊郎さん
日本株の市場動向やテーマ分析に定評があり、幅広いセクターに精通。特に技術的な強みを持つ高成長企業についての知見が深い。

楽天証券経済研究所 チーフアナリスト今中能夫さん
長年にわたり半導体、電子部品、IT・ソフトウェア分野を中心に調査・分析を担当。国内外のハイテク企業やテクノロジー業界の構造変化に精通している。

キオクシアは公開価格割れの不人気株で
2期連続赤字の負け組だった!

 時計の針を1年半巻き戻そう。2024年12月18日、キオクシアホールディングスは東証プライム市場に上場した。だが、その船出は寒々しいものだった。公開価格1455円に対し、初値は1440円。いきなりの公開価格割れである。公開価格も仮条件の上限では決まらず、市場の冷ややかな視線は明らかだった。初値ベースの時価総額は約7800億円。当初1.5兆円ともささやかれた期待は、見る影もなくしぼんでいた。不人気の理由は業績にあった。上場直前のキオクシアホールディングスは2期連続の赤字。利益の出ていない会社の株は、投資家から敬遠されやすい。加えて、当時はメモリという製品そのものも、地味で人気のない分野と見られていた。