ほとんどの人は、昇進は自分の努力ではどうにもならないと思いがちだ。でも、昇進が早い人たちの行動に共通点があるとしたら? 9年間、総額1億円超をかけて815社17万人の行動と評価データを分析して書かれた『815社17万人を分析してわかった 会社から期待されている人の習慣115』(越川慎司著、ダイヤモンド社)からヒントを紹介しよう。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局・石井一穂)

なぜか昇進する人が「金曜の夕方」に必ずやっていること【17万人分析の結論】Photo: Adobe Stock

感謝を「直接伝える人」は損している

 お世話になった人には、直接会って「ありがとう」と伝える。
 それが大人の誠意であり、正しいビジネスマナーだと信じている人は多い。

 だが、口頭で伝えただけの感謝は、その場限りで消えてしまう

 どんなに熱い言葉であっても、人間は数日経てば忘れてしまう。

 ただの「いい人」で終わってしまい、「この人のために一肌脱ごう」と動いてくれるまでの強い関係性を構築できない。

 その場限りのやり取りだけでは、社内に本当の味方が増えていかないのだ。

昇進する人は、金曜の夕方に「メール」で感謝を伝える

 では、なぜか昇進していく人は何をしているのだろうか。

『会社から期待されている人の習慣115』によると、815社17万人のビジネスパーソンの行動と人事評価データを分析した結果、意外な共通点がわかったという。

 彼らは、一週間の締めくくりである金曜の夕方に、感謝の言葉をわざわざ「文字」にして相手に送り届けているのだ。

 会社から期待されている人たちには、金曜の最終メールで誰かに感謝を伝える習慣があるとわかりました。
 若くして出世した97名の調査で、61%が週に一度は感謝メールを送っていたのです。母数は少ないですが、一般社員での比率は11%でしたので、その差は歴然です。

――『815社17万人を分析してわかった 会社から期待されている人の習慣115』より

 感謝メールの書き方にも工夫がある。

 単に「ありがとうございました」と書くのではなく、「先日はこの資料を急ぎで手伝っていただき助かりました」「あの会議でフォローしていただいたおかげで議論が前に進みました」と、具体的なエピソードを必ず添えていた。

 その方が、さらに感謝の気持ちが伝わるそうだ。

 ポジティブ心理学の研究でも、抽象的な言葉より具体的な感謝の方が、効果が2倍以上に高まると報告されています。
――『815社17万人を分析してわかった 会社から期待されている人の習慣115』より

「縁の下の力持ち」にこそ感謝を伝える

 感謝の対象は上司や顧客だけではない。

 むしろ、縁の下の力持ちに定期的に感謝を伝えている。

 資料を印刷してくれた事務スタッフ、障害を解決してくれた情報システムの担当者、会議室を整えてくれた総務のメンバー。こうした人たちへの感謝のメールが、職場に協力の文化を広げ、自身の仕事も進めやすくしていたのです。
 ある若手マネージャーは「派遣スタッフに“いつもありがとうございます”とメールしたら、翌週からこちらに合わせて調整してくれるようになった」と語っていました。

――『815社17万人を分析してわかった 会社から期待されている人の習慣115』より

 お世辞や無理な社内営業はいらない。

 ほんの一言の感謝が、思わぬ形で仕事を助けてくれる。

 文字に残された感謝は、相手が後から読み返すたびに効果を発揮し、自分には見えないところで「強力な協力の文化」を広げていく。

 その強固な人間関係のネットワークこそが、自身の仕事を劇的に進めやすくし、上層部に「あの人は組織を動かせる」と認めさせる決定打になっていたのである。

(本稿は、書籍『815社17万人を分析してわかった 会社から期待されている人の習慣115』の一部を引用したオリジナル記事です)

越川慎司(こしかわ・しんじ)
株式会社クロスリバー 代表取締役社長
日系通信会社や外資ベンチャーなどを経て2005年にマイクロソフト米国本社へ入社。その後、日本マイクロソフトの役員としてExcelやPowerPointなどの事業責任者を務める。2017年には週休3日・複業を実践する会社、株式会社クロスリバーを設立し、800社以上の働き方改革を支援。年300回以上提供する企業向けオンライン講座の受講者満足度は平均96%、行動に移す受講者は95%以上。著書は『世界の一流は「休日」に何をしているのか』(クロスメディア・パブリッシング)や、『AI分析でわかった トップ5%社員の習慣』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)など33冊、累計130万部。NHK、TBS、テレビ東京、PIVOT、NewsPicksやReHacQなどメディア出演多数。