会議で正論をぶつけているのに、なぜか評価されない。一方で、経営陣から認められ、最速で昇進していく人は、じつは「会議が始まる前」にある決定的な準備を済ませているという。9年間、総額1億円超をかけて17万人以上の行動データと人事評価を徹底分析して書かれた『815社17万人を分析してわかった 会社から期待されている人の習慣115』(越川慎司著、ダイヤモンド社)からヒントを紹介しよう。(構成/ダイヤモンド社・石井一穂)

「正論を言う人」は仕事ができない…17万人分析でわかった「昇進する人の会議のふるまい」・ベスト1Photo: Adobe Stock

会議で「正論」をぶつける人は評価が頭打ちになる

 会議の場で、おかしな点があればストレートに指摘する。
 間違っている意見には「それは違う」とはっきり伝える。
 良かれと思って熱く議論を交わす人は多い。

 だが、正しい意見であっても、伝え方を間違えればただの「地雷」になってしまう。

「うちのやり方では無理です」
「それは違うと思います」

 つい口にしてしまった一言が、相手のプライドを傷つけ、会議の場を凍りつかせる。

 どれだけ優れた実績を持っていても、周囲の感情を逆なでする発言が多い人は、上層部からの評価を得られるはずもないのだ。

昇進する人は「会議で言わないこと」を決めている

 では、なぜか昇進していく人は何をしているのだろうか。

『会社から期待されている人の習慣115』によると、815社17万人のビジネスパーソンの行動と人事評価データを分析した結果、意外な共通点がわかったという。

 彼らは、会議で「何を言うか」ではなく、「何を言わないか」を事前に決めていたのだ。

 218社での調査によると、期待されている人の86%は、会議で発言を避けるべき「NGワード」を明確にしていることがわかりました。これは一般社員における比率の約3倍です。
(中略)期待されている人たちは、この地雷を回避するために、「会議で言ってはいけないことリスト」を作っているのです。
――『815社17万人を分析してわかった 会社から期待されている人の習慣115』より

 たとえば、「それは違うと思います」は「少し違う見方もあるかもしれません」に言い換える。

「うちのやり方では無理です」は「今のやり方では難しいですが、こうすれば可能かもしれません」に言い換えるなど。

 それだけで、発言の印象や会議の流れが大きく変わる。

「場」や「感情」が荒れるきっかけを把握している

 さらには、地雷トピックを事前に洗い出す習慣も持っていたそうだ。

 過去の会議で揉めたテーマや、誰かが強い意見を持っているテーマをあらかじめ把握し、その話題に入るときの言い回しや順番を事前に設計していたのです。
――『815社17万人を分析してわかった 会社から期待されている人の習慣115』より

 そして、彼らは自分の感情が乱れるタイミングも予測し、事前に手を打っていた。

 自分が熱くなりがちな議題がわかっている場合は、そのタイミングでいちど深呼吸すると決めておく。発言メモに「冷静に話す」と書いておくなど、感情的になることを防ぐ工夫をしていたのである。

大事なのは「何を言うか」より、「何を言わないか」

 会議の前に「地雷を避ける言い換え」を用意しておく。
 感情が乱れるタイミングをあらかじめ予測しておく。
 発言メモの隅に「冷静に話す」と書いておく。
 ただそれだけだ。

 感情にまかせて場を荒らすことなく、大人の余裕を持って会議をコントロールする。

 その洗練された振る舞いこそが、経営陣に「この人になら重要なポストを任せられる」と確信させ、評価と報酬を跳ね上げる決定的な原動力になるのだ。 

(本稿は、書籍『815社17万人を分析してわかった 会社から期待されている人の習慣115』の一部を引用した記事です)

越川慎司(こしかわ・しんじ)
株式会社クロスリバー 代表取締役社長
日系通信会社や外資ベンチャーなどを経て2005年にマイクロソフト米国本社へ入社。その後、日本マイクロソフトの役員としてExcelやPowerPointなどの事業責任者を務める。2017年には週休3日・複業を実践する会社、株式会社クロスリバーを設立し、800社以上の働き方改革を支援。年300回以上提供する企業向けオンライン講座の受講者満足度は平均96%、行動に移す受講者は95%以上。著書は『世界の一流は「休日」に何をしているのか』(クロスメディア・パブリッシング)や、『AI分析でわかった トップ5%社員の習慣』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)など33冊、累計130万部。NHK、TBS、テレビ東京、PIVOT、NewsPicksやReHacQなどメディア出演多数。