【相談者の実践報告】
先生からの提案を読んだとき、正直、少し戸惑いました。
「え? 履歴書を書いたのに削除する? それって何の意味があるの?」と。
でも、読み直してみて、「先生は『本気の就活はしない』と言っているし、履歴書を書くだけなら難しくないな」と思えました。30分のタイマーをセットして、やってみることにします。
履歴書で一番悩むのは職歴です。どう書いていいかわからず頭が痛くなります。でも、先生がおっしゃった「出来がどうであれ、書き終わったらすぐに削除」という言葉を思い出すと、「どうせ削除するなら適当でいいか」と気持ちが楽になりました。
タイマーが鳴った時点で、まだ書きかけの状態でした。ところが、削除しようとした瞬間、手が止まりました。「本当に削除するの? 数カ月間、書きたくても書けなかった履歴書がようやく半分くらいできたのに……」そう思うと、消すのが惜しくなってしまいました。
でもそのとき、パソコンの「ごみ箱」の利点に気づきました。
「削除したって元に戻せるじゃないか、へへへ……」
それから数日後、パソコンのごみ箱には未完成の履歴書が5部溜まりました。
では、この数日間について、以下にまとめます。
1.履歴書を書く時間は日増しに長くなりました。1日目はタイマーが鳴った瞬間にやめたのですが、翌日からは書きかけの部分だけは終わらせてから終了するようにしました。
2.毎日、いったん白紙の状態から始めました。でも、頭の中には前日までの内容がだいたい残っていたので、作成速度は徐々に速くなりました。最後の日の履歴書は、ほぼ完成と言える出来でした。
3.誇れる職歴はありませんが、それでも見栄えが良くなるよう、何か書けることを無理やり引っ張り出してきて入れ込みました。職歴を整理しながら、「私もそれなりにやれている頃もあったな」とも思えました。他の人ほど優秀ではありませんが、小さくても成果には変わりませんよね。
明日はごみ箱からこの5部を拾ってきます。そこから使えそうな部分を寄せ集めて組み合わせたら、完全版の出来上がりです(拍手!)。
もちろん、これは第一歩にすぎないとわかっています。やはり怖いですし、仕事での経験不足も不安です。「いい年齢なのに結婚も出産もしていない」というだけで門前払いされるのではないか……そんなことまで考えてしまいます。
さらに心配なのは、病気が原因とはいえ、仕事を辞めて2年間のブランクがあるので、面接で何を話せばよいか、ということです。
今はまだ、先生が提案してくださった試みを続けたほうがよいのでしょうか。それとも、履歴書は出しても面接の電話連絡は受けないとか、自己PRを書き上げても削除するとか。あるいは、面接を受けても辞退すると決めておくといいでしょうか(そもそも面接に呼ばれるかどうかですが……ああどうしよう……)。
笑ってしまいますね、考えつくのは全部ずるいことばかりです。
これからどうするかはまだわかりません。でも、とにかく幸運に恵まれるように祈ります。
【リ・ソンウェイ先生の解説・コメント】
仕事に恐れを感じるとき、多くの人は「恐れを克服すること」を目標にします。しかし、私はその必要はないと考えます。
恐れは一つの感情にすぎず、仕事の出来不出来を決めるのは感情ではなく行動です。恐れを抱きながらでも行動はできますし、結局は何をやったかが一番重要です。
今回の介入で興味深いのは、何かを始めるとき、必ずしも「現実的な成果」を生む必要はない、ということです。行動そのものが「正のスパイラル」のスイッチになります。
最初の「行動」が動き始めると、自然にやる気が増し、できることも増えていきます。つまり雪だるまが転がるように、最初は小さくても、くるくる回りながら次第に大きくなっていきます。
肝心なのは、まず始めることです。
やりたくないとき、人はたいてい言い訳を探します。
「ほんの少しやったくらいで、何の役に立つんだろう?」
でも、もうわかりましたよね。やり終えたら削除しても構わないのです。
恐れる人よ、まずは「どうでもよいことをほんの少しやる」、そこから始めましょう。
(本原稿は、『5%の変化――自分を変える「小さな実験」』(リ・ソンウェイ著、金山まゆみ訳)からの抜粋です)



