「組織で評価されないのは、自分に才能がないからだ」――。そう思い込んでしまう人は少なくない。しかし、本当にそうだろうか。実は、能力があるにもかかわらず、組織では実力を発揮できない人は珍しくない。漫画『左ききのエレン』で累計420万部超を突破し、漫画家として活動するかっぴー氏は、かつて、「なかなかハマらなかった」と感じていた一人だと言う。では、なぜ今は成果を出せているのか。その答えは、「自分のカード」と「環境」との相性にあった。

実力はあるのに…「なぜか組織で無能になる人」の共通点Photo: Adobe Stock

自分は「組織」と合っているか?

「優秀な人だと思っていたのに、会社ではなぜか評価されない」。そんな人を見たことはないだろうか。逆に、独立した途端に驚くほど成果を出したり、転職しただけで別人のように活躍し始めたりする人もいる。

この違いは、能力ではない。多くの場合、その人が持っている「カード」と、その組織が求めている「カード」が噛み合っていないだけだ。

「仕事ができる人」と聞くと、どこへ行っても活躍できる万能な人を想像しがちだ。しかし現実には、そんな人はほとんどいない。なぜなら、組織ごとに評価されるカードが違うからだ。

「どのカードが強いか」は環境で変わる

たとえば、ある会社では、「電話対応が早い」「社内調整が得意」「会議で場をまとめる」「上司への報連相が細やか」といったカードが評価されるとしよう。しかし一方で別の環境では、「企画を生み出す」「発信する」「作品をつくる」「営業で成果を出す」といったカードが評価されることもあるだろう。

つまり、「どのカードが強いか」は環境によって変わるのだ。

僕は電話対応がとても苦手だ。もし電話対応が必須の会社にいたら、おそらく「仕事ができない人」という評価になっていただろう。

しかし今の漫画家の仕事では、電話対応はほとんど求められない。その代わり、漫画を書くためのカード「ストーリーを考える」「セリフを考える」「絵を書く」が評価される。だから成果を出せている。

カードの「コスト」は人によって違う

ここで重要なのは、カードには「強さ」だけではなく、「MP消費量」があるということだ。

同じカードでも、人によって使うコストはまったく違う。私は漫画を書く時、何時間集中を続けてもそれほど疲れない。しかし電話対応は数本こなしただけで、一気にMPが削られてしまう。

一方、自分が自然に使えるカードは、ほとんどMPを消費しない。だから何度でも使えるし、改善のスピードも速い。同じ努力量でも結果に大きな差がつき、周囲からは「あの人は才能がある」と見える。

だから探すべきなのは、「一番強いカード」ではない。「一番少ないMPで使えるカード」だ。

「組織で評価されない=才能がない」は嘘

「苦手だけど頑張ればできるカード」を使い続けても、長く成果を出し続けることはできない。仮に一定の成果が出せたとしても、それは無理をしている状態であり、「天才状態」からは遠い。

だから、「組織で評価されない=才能がない」と思い込むのは早計だ。その組織では弱いカードだっただけで、別の環境では切り札になることはいくらでもある。

だから大切なのは、「自分のベテランになる」ことだ。何をすると自然に成果が出るのか。何なら人より速くできるのか。逆に、どれだけ努力しても消耗してしまうのか。それを知ることが、自分のカードを知るということでもある。

その上で、今の組織でそのカードを生かせる場所を探す。部署を変える。仕事を変える。それでも難しければ、転職や独立という選択肢もある。組織で評価されないことと、実力がないことはまったく違うのだ。

(本記事は書籍『天才になれなかった全ての人へ 自分だけの武器が見つかる才能論』に関する書き下ろし原稿です)