それっぽい言葉を、よどみなく話す人がいる。聞き取りやすく、情報量も多い。エビデンスもあって、論理的で、ツッコミどころがない。なのに、なぜか心に何も残らない。話が終わると、結局何が言いたかったのか思い出せない。アパレル史上最年少で上場した株式会社yutori社長・片石貴展氏の新刊『自分の言葉で話せるようになりましょう。』が、その「呆れるほど中身がない」の正体を明かしている。(構成/ダイヤモンド編集局・淡路)
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賢く見せようとする人ほど、中身がない
なぜ、論理的で隙のない話が、何も残らないのか。本書は、その人たちがやっていることを、こう言い当てます。会議で「アジェンダ」「エビデンス」「アグリー」といった横文字を多用すること。特徴・ワースト1は、これです。
意味をわかっていない言葉を、ただ並べること。
会議で「アジェンダ」「エビデンス」「アグリー」といった横文字を無闇に多用する人。
これは、むずかしい言葉を並べて、自分を賢く有能なビジネスパーソンに見せようとする行為といっていいでしょう。
――『自分の言葉で話せるようになりましょう。』より
ブランドのロゴで自分を大きく見せる。それは、本来「自分>ブランド」であるべき関係が、「自分<ブランド」と逆転している状態です。中身の「自分」より、借りてきた記号のほうが大きくなってしまっている。
横文字も、まったく同じ。言葉という権威を借りた結果、言葉に着られているのです。
「流行りの言葉」を連発する人は、マネキンと同じ
横文字だけではありません。もう一つ、危ないのが、流行りのビジネス用語です。
「心理的安全性」や「パーパス」のような流行りのビジネス用語を連発する人もいます。自分が組織で泥水をすするような苦労や激しい対立を経験したわけでもないのに、ただビジネス書やネットで読んだ「最新の正解」としてその言葉を使っている人。
――『自分の言葉で話せるようになりましょう。』より
概念そのものは、もちろん素晴らしい。問題は、自分の経験を一切くぐらせずに使うことです。
自分が痛い目を見たわけでも、悩み抜いたわけでもないのに、「最新の正解」として口にする。
その瞬間、言葉は借り物になる。着ている本人は「自分はかっこいい、わかっている」と思っている。でも周りからは、中身のない、ただのマネキンに見えているのです。
なぜ、あの人の話は誰にも残らないのか
なぜ何も残らないのか。借り物の言葉は、どれだけ正しくても、人の心を動かさないからです。
――『自分の言葉で話せるようになりましょう。』より
正しいことを、難しい言葉で、論理的に話す。
それでも人が動かないのは、その言葉に「あなた」がいないからです。誰が言っても同じ言葉は、誰の心にも引っかからない。賢そうに聞こえて、何も残らない。「中身がない人」と思われてしまう正体は、これです。
中身のある人は、何が違うのか
では、中身のある人はどう話すのか。
難しい言葉を避けるわけではありません。その言葉を、自分の経験とつないで話すのです。
「心理的安全性が大事だと思う。なぜなら、前にいたチームで、何を言っても否定される空気のなかで、自分も部下も口を閉じていった経験があるから」
同じ「心理的安全性」でも、自分の痛みを通した瞬間、その言葉は借り物でなくなる。体温を持ち、聞き手の心に残る。
中身があるかないかは、知っている言葉の数では決まりません。その言葉を、自分の人生のどこかと、ちゃんとつなげているか。それだけなのです。
(本稿は、『自分の言葉で話せるようになりましょう。』の一部を引用したオリジナル記事です)









