中身がないのに「すぐ講演する人」の増殖で起きている大問題写真はイメージです Photo:PIXTA

大した中身もなく、すぐに講演する人

 コロナ禍以来、オンラインセミナーが手軽に開催されるようになり、講演をする人が増えている。それを見るにつけ、ビジネス社会には「すぐに講演する人」と「黙々と知識を蓄える人」がいるように思う。

「すぐに講演する人」とはどういう人か。

 1回か2回の成功を元に、その成功がさもものすごいことであるかのように演出する。さらには、その少ない経験から得た知見を上手にキーワード化して、それが普遍的なものであるかのように感じさせることができる。また、効果的にビジュアル化して、人々に強く印象付けることができて、話も上手で、聴衆を魅了する問いかけの手法を知り、たとえ話を巧みに用いることができる人のことである。

 その人のいる会社がもともとやっていたことであっても、あたかも自分の存在によってその成果が生まれたように(平たく言うと“自分がやった”ように)見せかけることも得意である。

 そうすると、プロからの評価はさておき、一般の人からは「すごい!」と称賛を浴びることになる。その結果、ビジネスタレントとして市場で高い評価を受けるのだ。

 しかし、このような人の本当の価値については疑問が残る。