「頭では考えているのに、なぜか言葉が出てこない」。そんな経験は誰にでもあるでしょう。でも実は、文章を作ること自体はそれほど難しくありません。『言語化だけじゃ伝わんない』では、口下手の本当の原因は別のところにあると説きます。本記事では、その意外な理由を紹介します。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)

うまく言葉が出てこない理由
「頭の中ではわかっているのに、言葉にならない」
そんな経験はないでしょうか。
会議で意見を求められたとき。
自己紹介をするとき。
突然質問されたとき。
頭の中には何かある気がするのに、それを言葉にできない。
だから、「もっと話し方を勉強しなければ」「言語化力を鍛えなければ」と考えてしまいます。
しかし、『言語化だけじゃ伝わんない』では、そもそも文章を作ること自体は難しくないと語られています。
文章は、意外なほど簡単に作れてしまう
本書では、こんなゲームが紹介されています。
文章を5つの要素に分けて、不思議な文章をつくって楽しむ遊びです。
小さなカード型の紙を参加者に5枚単位で配ります。
そこに各々、『いつ』『どこで』『だれが』『なにを』『どうした』に当てはまる言葉を好きに書いていきます。
書いたものをすべて集めて、項目ごとにカードを混ぜます。
そして、1枚ずつめくって、ひとつの文章をつくっていくという遊びです。
――『言語化だけじゃ伝わんない』より
ルールはとてもシンプルです。
「いつ」「どこで」「だれが」「なにを」「どうした」。
この順番に言葉を並べるだけで、一応は文章になります。
文法だけで文章は完成する
ゲームでは、こんな不思議な文章ができあがります。
『ある満月の夜/学校で/ぼくは/テレビを/煮込んだ』
『修学旅行の当日/東京タワーで/サラダが/鶏肉を/追いかけた』
『昨日/落とし穴の中で/総理大臣が/グミを/金に変えた』
自分が書いたカードが、他の人のカードと混ざり合って、不思議な文章ができます。
このゲームは、文章がどういうふうにできているかを私に教えてくれました。
文法というルールにあわせて、単に言葉を並べていくだけで、文章は完成するのです。
――『言語化だけじゃ伝わんない』より
内容はめちゃくちゃです。
でも、日本語としては成立しています。
つまり、文章を作ること自体は、それほど高度な技術ではないということです。
文法さえ知っていれば、小さな子どもでも文章は作れます。
本当の問題は「文章」ではない
では、なぜ私たちは話せなくなるのでしょうか。
本書では最後に、こう語られています。
こんなにもシンプルだからこそ、子どもでも文章をつくることができます。
そう考えて、世の中を見回してみると、なかなか口下手な人を見つけることができません。カフェや居酒屋に行っても、みんなまったく迷いなくポンポンと会話しています。
まるで、「口下手なのは私だけ」という気分になります。
しかし、とにかくまずここで確認しておきたいことは、「文章をつくること自体は難しくない」ということです。
言葉が出てこないのであれば、問題は別のところにあるはずなのです。
――『言語化だけじゃ伝わんない』より
ここが本書の大切なポイントです。
文章を作る能力には問題がない。
それなのに言葉が出ない。
ということは、原因は文法でも語彙力でもありません。
頭の中にあるイメージや感情、経験を、「何を話せばいいのか」という形に整理するところで立ち止まっているのです。
「話せない」のではなく、「整理できていない」
『言語化だけじゃ伝わんない』は、「口下手」の正体を違う角度から見せてくれます。
私たちは、文章を作れないから話せないのではありません。
頭の中にある複雑なイメージを、どこから切り出せばいいのか迷っているのです。
だから、「うまく話せない」と悩んだときは、文章力を疑う必要はありません。
まずは、自分の頭の中にあるものを整理すること。
何を一番伝えたいのか。
どこから話し始めればいいのか。
そこが見えてくると、言葉は驚くほど自然に出てくるようになるのです。
(本記事は、書籍『言語化だけじゃ伝わんない –––– 絵を描くように「考える・伝える」技術』を元にしたオリジナル記事です。)
1981年静岡県生まれ。制作会社にて、雑誌タイアップ広告の制作進行を務めたのち、フリーランスのライターを経験。国際情勢関連の英日翻訳をやりながら、2011年からイラストレーターの活動をスタート。現在は書籍・雑誌・広告など幅広く活動中。特に、ビジネス書や新書での挿絵や図解を担当することが多く、10年以上、活躍している。
これまで、装画・イラストを担当した書籍は200冊以上。『言語化だけじゃ伝わんない –––– 絵を描くように「考える・伝える」技術』(ダイヤモンド社)が初の単著となる。








