「もっと話がうまくなりたい」と悩む人は多いでしょう。でも、口下手なのは「頭が悪い」からではありません。実は、頭の中にあるイメージや考えを言葉へ変換する難しさが原因なのです。本記事では、『言語化だけじゃ伝わんない』から、口下手と話し上手を分ける意外な違いについて紹介します。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)

「口下手の人」と「ペラペラ話せる人」。頭の中のたった1つの違いとは?

「口下手の人」と「ペラペラ話せる人」

「もっとスラスラ話せるようになりたい」

 そう思ったことがある人は多いでしょう。

 会議で質問されると頭が真っ白になる。
 自己紹介で言葉に詰まる。
 インタビューや雑談でも、「えーっと……」が増えてしまう。

 一方で、どんな質問にもすぐ答えられる人もいます。
 その違いは何なのでしょうか。

言語化だけじゃ伝わんない』では、「口下手」の原因について、とても意外な答えが示されています。

頭の中ではたくさん考えている

 本書では、こんなエピソードが紹介されています。

「なんでイラストレーターになったんですか?」
フリーランスでイラストレーターをやっていると、よく聞かれる質問です。
「働かないと家賃が払えないからです」
「満員電車に乗りたくなかったからです」
「絵が好きだからです」……
どれが一番いい回答だろう?
そもそも、この人はなんでこんな質問をしてきたんだろう?
こんなふうに頭の中で考えながら、実際の私は、「えーっと……」と謎にうなってしまいます。
――『言語化だけじゃ伝わんない』より

 この場面に共感する人は多いのではないでしょうか。

 口下手な人は、考えていないのではありません
 むしろ逆です。

「あの答えもある」
「でも、こっちのほうが正確かな」
「質問の意図は何だろう」

 頭の中では大量の思考が走っています。
 だからこそ、一つに絞れず、言葉が止まってしまうのです。

「話せる人」は能力が高いわけではない

 本書では、さらにこう続きます。

私が自分を口下手だと感じるのは、こういうときです。
「生成AIについてどう思いますか?」
「うーん、そうですね~。えーっと……」
私のように言葉が出てこない人の話は、聞こうにも聞き出すことができません。
聞いても答えが出てこないので人が離れていくのです。ヤバいです。
反対に、『自分の考え』をうまく話せている人の言葉には多くの人が耳を傾けます。
やはり『言語化』のスキルを身につけないといけないのかもしれません。
――『言語化だけじゃ伝わんない』より

 たしかに、話せる人は魅力的に見えます。
 しかし、それだけで「考える力がある」とは限りません。

 反対に、話せない人が「考えていない」とも言えません。
 話すことと考えることは、似ているようで別の能力なのです

口下手は「頭が悪い」のではない

 本書では最後に、こんな結論が語られています。

口下手の原因は、『頭の中と文章の相性の悪さ』にあります。
「頭の悪さ」ではありません。
『頭の中と文章の相性の悪さ』です。
「頭の中にあるものを、文章にする」ということ自体が、とてもおかしな行為なのです。
それを「おかしい」と捉えるか、「別にいいじゃん」と捉えるか。
この差が口下手の人と、ペラペラ話せる人のちがいです。
――『言語化だけじゃ伝わんない』より

 これは、多くの人を勇気づける考え方ではないでしょうか。
 私たちの頭の中は、本来、言葉だけでできているわけではありません。
 イメージが浮かんだり、感情が動いたり、過去の記憶がつながったりしています。

 その複雑なものを、一本の文章に並べ替える
 考えてみれば、それ自体がかなり難しい作業です。
 だから、言葉に詰まることは能力不足ではありません。

 頭の中の豊かな情報を、まだうまく翻訳できていないだけなのです。

話すのが苦手でも、考える力は育てられる

言語化だけじゃ伝わんない』は、「話すのが苦手=頭が悪い」という思い込みを覆してくれます。

 口下手な人は、考えることに時間をかけています。
 だからこそ、一言では答えられない

 一方、ペラペラ話せる人は、「頭の中を文章に変えること」に抵抗が少ないのです。
 つまり、その違いは知識量でも頭の良さでもありません

「頭の中にあるものを、言葉に変換することをどう捉えているか」という違いなのです。
 口下手だからといって、自分の思考力まで疑う必要はありません。

 まずは、自分の頭の中にあるイメージや感覚を大切にすること
 その上で少しずつ言葉に変えていけば、伝える力は必ず育っていくのです。

(本記事は、書籍『言語化だけじゃ伝わんない ―― 絵を描くように「考える・伝える」技術』を元にしたオリジナル記事です。)

ヤギワタル
1981年静岡県生まれ。制作会社にて、雑誌タイアップ広告の制作進行を務めたのち、フリーランスのライターを経験。国際情勢関連の英日翻訳をやりながら、2011年からイラストレーターの活動をスタート。現在は書籍・雑誌・広告など幅広く活動中。特に、ビジネス書や新書での挿絵や図解を担当することが多く、10年以上、活躍している。
これまで、装画・イラストを担当した書籍は200冊以上。『言語化だけじゃ伝わんない ―― 絵を描くように「考える・伝える」技術』(ダイヤモンド社)が初の単著となる。