「“言語化”疲れで、“言語化”という言葉にモヤモヤする」
「即答するよりじっくり考えるほうが大事なのでは?」
「別に“口下手”のままでもいいじゃないか!」…
など、まったく新しいコミュ力を説いた書籍『言語化だけじゃ伝わんない ―― 絵を描くように「考える・伝える」技術』が発売された。著者でイラストレーターのヤギワタル氏は、これまで200冊以上の書籍でイラストや装画を担当してきて、今回が初の単著となる。本書では、昨今の「言語化ブーム」に対して警鐘を鳴らし、「言語化“以外”に目を向けること」をイラストレーターならではの視点で面白く解説している。本記事では、その中からビジネスパーソンにも役立つノウハウとして紹介する。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)

「仕事ができる人」に生まれ変わる瞬間
若手社員を見ていると、不思議なことがあります。
同じような能力で入社したはずなのに、数年後には大きな差がついている。
一方はどんどん成長する。
もう一方は、いつまでたっても同じ失敗を繰り返す。
その違いは何なのでしょうか。
『言語化だけじゃ伝わんない』では、その転機について興味深いことが語られています。
それは、「言葉の意味が変わる瞬間」です。
仕事ができる人になる人は、ある日突然、同じ言葉を違う意味で理解するようになるのです。
成長は「言葉の再発見」から始まる
本書では、こんな体験が紹介されています。
私は自分のやったことに「準備」というラベルを貼りました。
「これが、準備なんだ」と。
――『言語化だけじゃ伝わんない』より
多くの人は、「準備」という言葉を知っています。
小学生でも知っています。
だから、自分も理解していると思っている。
しかし、ここに大きな落とし穴があります。
言葉を知っていることと、その言葉を理解していることは別なのです。
「わかっているつもり」が成長を止める
本書では続いてこう語られています。
でも、地に足のついた理解をすると、準備をするときに「どうすればうまくできるのか」「何をしたらいいのか」まで考える必要があることにも気づきます。
――『言語化だけじゃ伝わんない』より
ダメな若手ほど、「知っている言葉」を理解した気になっています。
準備が大事。段取りが大事。顧客目線が大事。報連相が大事。そんなことは知っている。
でも、その中身が空っぽなのです。
だから行動が変わらない。
だから結果も変わらない。
一方で、成長する人は違います。
実際に失敗する。実際に成功する。
そして経験の中から、「ああ、準備ってこういうことだったのか」と気づく。
その瞬間に言葉が生き始めるのです。
同じ言葉でも、中身はまったく違う
本書では最後にこう語られています。
準備をするかしないかで結果がどう変わるか比較ができて、単に「支度をする」だけでは準備したことにならないとわかるからです。
――『言語化だけじゃ伝わんない』より
ここに、若手が成長する瞬間があります。
それは、新しい知識を得た瞬間ではありません。
新しい言葉を覚えた瞬間でもありません。
昔から知っていた言葉の意味が変わる瞬間です。
「準備」「責任」「信頼」「プロ意識」…
こうした言葉は、経験を積むたびに意味が変わっていきます。
そして、その変化こそが成長です。
仕事ができる人は「言葉の中身」を持っている
『言語化だけじゃ伝わんない』は、成長の本質を教えてくれます。
ダメな若手は、言葉を知っています。
でも、その言葉の中身を持っていません。
仕事ができる人は違います。
失敗も成功も経験している。
だから、「準備」という言葉を聞けば、自分の体験が浮かぶ。
「責任」という言葉を聞けば、自分が背負った場面が思い出される。
つまり、言葉と経験が結びついているのです。
若手が「仕事ができる人」に生まれ変わる瞬間。
それは、新しい知識を得たときではありません。
経験を通じて、知っていたはずの言葉を本当に理解したときなのです。
1981年静岡県生まれ。制作会社にて、雑誌タイアップ広告の制作進行を務めたのち、フリーランスのライターを経験。国際情勢関連の英日翻訳をやりながら、2011年からイラストレーターの活動をスタート。現在は書籍・雑誌・広告など幅広く活動中。特に、ビジネス書や新書での挿絵や図解を担当することが多く、10年以上、活躍している。
これまで、装画・イラストを担当した書籍は200冊以上。『言語化だけじゃ伝わんない ―― 絵を描くように「考える・伝える」技術』(ダイヤモンド社)が初の単著となる。








