『風、薫る』第68回より 写真提供:NHK
今日の朝ドラ見た? 日常の話題のひとつに最適な朝ドラに関する著書を2冊出版し、毎日レビューを続けて12年めの著者による「読んだらもっと朝ドラが見たくなる」「誰かと話したくなる」連載です。本日は第68回(2026年7月1日放送)「風、薫る」レビューです。(ライター 木俣 冬)
引っ越し前の一騒動
りん(見上愛)一家が引っ越すことになった。卯三郎(坂東彌十郎)が貸してくれたこの家を使って新規事業を行おうと考えているからだ。
美津(水野美紀)は直美(上坂樹里)も一緒に暮らせるような広い家を探してきた。
「このままうやむやにして住むってわけには……」
渋る直美にりんは、「私は直美さんがいると楽しいし、助かってる。環も家族みたいになついているし」
「家族と家族みたいは違うでしょ」。直美は線引きしたがる。が、おそらく内心はうれしくないわけでもないだろう。全く面倒くさい。
第68回は、言葉の裏にある気持ちがテーマになっているようだった。
直美の思いとりんの思いがより明確になるきっかけは、そのあとだ。
主題歌明け。突然、女所帯に危険が。りんが帰宅するとき、誰かにつけられて、その人物らしき黒い影が玄関の前に立つ。ここは女性ばかり。これまで狙われなかったことが幸運だった。女や子どもたち、みんなでほうきを構えると、ひげをはやした男が現れる。
それは寛太(藤原季節)だった。ひげをはやし、洋装で、変装がさらに上達していた。
「(直美とは)ご友人よりもっと深い間柄」とおどけると、環(英茉)がキョドった顔になる。まだ幼い環の教育に悪い。
寛太は大日本帝国憲法発布の記念碑建設の寄付詐欺を働いていた。1口50円。りんたちの月給の5倍!
「見栄っ張りの小金持ちに声かけると、おもしれえように金が集まる。憲法なんか読んだことあるやつなんかいやしねえんだから」
朝ドラの主要キャラがこんなにも堂々と詐欺を働き続けているのは珍しい。飲んだくれのお父さんとか万引きの弟とかも過去にはいるが。例えばNetflixで配信中の『まんぷく』(18年度後期)には、加地谷(片岡愛之助)という萬平(長谷川博己)を罠にはめて逃げるという悪者がいた。







