それは主義? はたまた事情??
「AかBか」という主義が分かれそうなトピックをあらためて考える、人気エッセイストの古賀及子さんによる書き下ろし記事を掲載します。

暮らしの信じ方Photo: Adobe Stock

前回≫7/3公開、【あなたはどっち派?】「先送りか前倒しか」クーラーをずっと替えられないまま、確定申告は初日に出す(1)【古賀及子さん書き下ろし】

“ついつい使い続ける”ということ

 仕事や手続きまわりには驚くほどの機動力を発揮してタスクをつぶし、それに快感すら得ているのに、どうして家のことになると腰が重たくなるのか。

 それはきっと、相手のいる要件とは違って、締め切りがない、待っている人がいない、そのままでも生きていかれる、そしてお金がかかるから、だろう。

 リストアップした用事はすべて、大なり小なり、これらの理由にすべて当てはまっている。

 リストのなかでも、早くなんとかせねばならないのは給湯器か。
 設置から十年が経過して、点検しないと急に故障するかもしれないことを点検ランプで知らせてくれているのに、壊れてはいないものだからついつい、使い続けている。

メーカーの気概と、頼りない家主勢のぶつかり合いに

 大変に恥ずかしい話だけれど、もしも点検が期限つきで無料だったら、普段の段取り力を発揮してそれはもう速やかに申し込んだと思うのだ。けれど点検は、当然料金がかかる。

 わざわざうちまで給湯器の様子を確認しにプロの点検員の方が来てくれるんだからそりゃそうだ。一万円だそうで、安いくらいではないか。

 でもそれで、長らく放ってしまった。

 この機会に動き出そうと、メーカーの点検申し込みのホームページに、たった今、アクセスしてみた。するといきなり「点検申し込みキャンペーン 今ならアマゾンギフト券千円分プレゼント」と表示されたものだから、ついつい吹き出してしまう。

 間違いなく、私と同じように点検を延ばし延ばしにし、メーカーらから送られてきた点検の案内のハガキ(そういうものがあったのだ)も紛失し、けれど日々点灯する要点検のランプに、申し込みをしなくてはしなくてはと思ってすごしている、そんな人がたくさんいるしるしではないか。

 重い腰を上げてやっと、せめてホームページを見てみようかと思った私たちを、ぜったいに逃すまいとしてギフト券を持ち出すメーカーの気概と、よぼよぼ点検をしそびれ続けている頼りない家主勢のぶつかり合いに、うっかり風情を感じてしまった。

 ここまできて申し込まないわけにはいかないだろう。ひるめば、今度またいつになるかわからない。

 ついに申し込んだ。同時に、もともとの取り付け時期を調べて、二〇一二年だったことが判明して驚いた。点検ランプは設置十年後に点灯する仕様だから、つまり二〇二二年からこれを書いている二〇二六年まで四年間、給湯器は点検をすべしと家族に伝え続けていたことになる。

 紺のポロシャツの販売URLを一分で列挙しておきながら、家のことはここまで後回しにしてしまうのか。思っていた以上に私は過激だ。

小さく革命を起こす

 タスクのうちのひとつ、「居間の天井のライトの調子がわるい、調べる」についても、修理した方がいいのか、取り換えるべきなのかを確認することにした。

 居間ではかつては長らく、クラシックな和室にあるような、角形をした、吊り下げて設置する照明器具を使っていた。輪っかの蛍光灯やグロー球を取り換えても点灯しなくなり、器具から丸ごと付け換えたのが今使っているものだ。

 ぶら下げるのではない、ぴたっと天井にひっつけるタイプで、調べたところ、ネット通販で三千五百円で購入していた。

 この価格で、なんと五年保証がついている。サービスしすぎではないかと不安になりつつ購入時期を確認すると、不調が出た今年で購入六年目だった。精密だ。

 内部を交換することはできないらしく、同じものを買ってまるまる交換するしかないようだ。

 給湯器の点検を申し込んだのと同じ気持ちで、すっと、後継機種を購入、そのまま勢いをつけて、こちらも長らく着手しないままだったフライパンも買い替えた。小さく革命を起こす。