それは主義? はたまた事情??
「AかBか」という主義が分かれそうなトピックをあらためて考える、人気エッセイストの古賀及子さんによる書き下ろし記事を掲載します。

暮らしの信じ方Photo: Adobe Stock

前回≫7/4公開、【あなたはどっち派?】「先送りか前倒しか」クーラーをずっと替えられないまま、確定申告は初日に出す(2)【古賀及子さん書き下ろし】

ことが壮大になると、折り合いがついて諦められた

 ところで、家の不都合の中には、かつてはタスクに入っていたものの、無理だと諦めたこともある。

 風呂場の扉の交換がそうだ。

 中折れドアと呼ばれる、真ん中で折りたたむタイプのドアで、いつからかぴったり閉まりきらなくなった。
 直した方がいいよなあと思い続けて、ついに工務店に相談したところ、扉だけ交換は難しい、全体的に古くなっているから、風呂場をまるまるリフォームした方がいいとすすめられたのだった。

 驚きながらもやむを得ず、タスクを「風呂場のドアを交換する」から「風呂場をリフォームする」に書き換えた。

 すると、なんだか妙に折り合いがついたというか、急にことが壮大になり、必要な金額もぐっと上がって、結果、リフォームはタスクの一覧の上で徐々にインクの色を薄くして、消えていったのだった。このままでいっか~と、諦めた。

のらりくらりして、古いクーラーで夏を越える

 諦めたのが確かもう十年は前だ。以来十年、ぐらぐらの扉を開け閉めして、私たち家族は風呂に入っている。

 給湯器の点検と、照明とフライパンの買い替えを済ませて、今この家のタスクは残りこの四項目になった。

・郵便受けの蓋がはずれやすい、修理する
・乗らない自転車を処分する
・クーラーを買い替える
・水栽培で育ったアボカドを鉢に植える

 郵便受けは、この家が建った三十年以上前から使われているもので、おそらくもはやパーツのみの交換は難しいだろう。しっかりと壁にめり込むように設置してあって、簡単にはに取り換えられない。

 不便は感じているけれど、いちばん、風呂の扉と同じ道を歩みそうな予感がする。

 今、あきらかに急を要するのはいつ壊れてもおかしくない、古いクーラーだ。けれど機種や値段の比較検討、取り付け工事の段取りなどを考えると重い腰は上がってこない。

 のらりくらりして、もう軽く五年は悩んだまま古いクーラーで夏を越えている。

 締め切りは守るし、確定申告を出すのも早い。けれどクーラーは替えられない。

 とりあえず、給湯器の点検がすんだところでまた考える。

(おわり)