考えれば考えるほど、不安や悩みが深まってしまうことはないだろうか。そんなときこそ、発想を変えて「身体」から心に働きかけるという方法がある。医師で老年医学・栄養科学の専門家であるガブリエル・ライオンの知見をもとに、筋力トレーニングがメンタルにもたらす効果を紹介する。(ダイヤモンド社書籍編集局・三浦岳)
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心と身体はつながっている
仕事や人間関係、将来の不安など、生きていれば悩みは尽きない。
私たちは問題に直面すると、頭の中だけで考えを巡らせ、どうにかして解決策を見出そうとしがちだ。しかし、考えれば考えるほどネガティブな感情のループにはまり、動けなくなってしまうことはないだろうか。
そんなとき、最も手っ取り早く、かつ確実に状況を好転させる方法がある。それは「筋力トレーニング」だ。
医師のガブリエル・ライオン著『筋肉が全て』によれば、筋トレはメンタルにも影響を与えるという。
一見、悩み事と筋トレは無関係に思えるかもしれない。だが、同書の著者は、心と身体は密接につながっており、真のウェルネスを手に入れるためには両方からのアプローチが必要だと語る。
彼らはウェルネスを求めて私のもとにやってくる。
彼らにすばらしい人生をつかんでもらうために私は「思考の力」を処方する。
私はだれに対しても、最初に鍛えるべき筋肉は精神だと言っている。あなたにも同じことを言おう。――『筋肉が全て』より
精神という「筋肉」を鍛えることは、困難を乗り越えるための土台となる。だが、弱った精神だけを無理やり強くしようとしても限界がある。そこで強力な助けとなるのが、物理的な筋トレだ。著者は次のように指摘している。
身体に負荷をかけ、筋肉を限界まで追い込むという「困難」を自らの意思で乗り越える経験は、精神的な忍耐力や自己規律をダイレクトに鍛え上げる。身体が強くなるにつれて確かな自信がつき、少しのことでは折れないレジリエンスが育っていくのだ。
運動がホルモンを放出させる
さらに、筋トレが悩みを解決する理由は精神論だけにとどまらない。医学的にも根拠がある。
筋肉を動かすと、エンドルフィンやドーパミンといった気分を高揚させるホルモンが分泌され、脳に直接働きかける。さらに、筋肉が収縮することで「マイオカイン」と呼ばれる強力な物質も放出され、これが脳の神経細胞を成長させ、気分障害を抑える天然の抗うつ薬のように機能するのだ。
悩んだとき、ソファでじっと考え込んでいても状況は悪化するばかりだ。解決の糸口が見えないときこそ、まずは立ち上がり、ダンベルを握るかスクワットを始めよう。今日の筋トレが精神を鍛え、脳を活性化し、目の前の問題を突破する力を生み出すのである。
(本記事は、ガブリエル・ライオン著『筋肉が全て━━健康・不老・メンタル、人生のすべてが変わる唯一の方法』に関連した書き下ろし記事です)
医師(DO)
イリノイ大学で栄養科学の学部課程を修了後、セントルイス・ワシントン大学において老年医学・栄養科学の臨床・研究フェローシップを修了。健康、パフォーマンス、老化、疾病予防におけるタンパク質の種類および摂取量の実践的応用に関する分野の専門家、教育者として活躍している。筋肉についての最新研究を網羅した本書は全米で大きな話題を呼び、ニューヨーク・タイムズベストセラー、ウォール・ストリート・ジャーナルベストセラー、USAトゥデイベストセラーとなり、世界各国での刊行が続いている。






