「Bさんは職場がどんな風になったらよいと思いますか?」

「最低でもあいさつや『ありがとう』と感謝の言葉を交わせるようになるといいですね」

「なるほど。では、ご自身はあいさつや『ありがとう』と言っていますか」

「いえ……。いつもシーンとしているので自分から言い出しにくくて……」

 他の点についても詳しくお話を聞いてみたところ、上司の評価や仕事の多忙さに関して突っ込んで議論し、解決策に取り組むことはあまりしていませんでした。

「転職を考える前にまずは自分からあいさつしたり、職場の問題点について上司や同僚と議論したりすることからはじめてみてはどうでしょう」

 そうアドバイスしたところ、Bさんは「やってみます!」とすっきりした顔をして帰っていきました。

 会社に何らかの不満があって転職を希望する人は少なくありませんが、その多くは自分が動けば解決できることがまだまだあるのに「どうせ言っても無駄」と勝手に思い込み、大して解決に取り組まないまま会社を去っていこうとしています。

 もし当社へ相談に来られていなかったら、Bさんもそのまま転職していた可能性が高いと思います。しかし、それはあまり好ましくない転職です。なぜなら同じような問題に直面するたびに、また同じように会社を辞めていくことになるからです。それは「逃げ出し転職」であり、決してうまくはいきません。

 転職したくなるほどの不満や職場の問題点を解決するために、自分ができることを十分に果たしたか。すなわち、きちんとケリをつけたかどうか。そうでない人は、まだ転職のタイミングが訪れていない人です。