「小泉進次郎大臣が中国の〈新型軍国主義〉批判を返り討ちにした」と喜ぶ人が知らない事実【佐藤優】2026年5月31日にシンガポールで開催されたアジア安全保障会議で、記者団の取材に応じる小泉進次郎防衛相 Photo:JIJI

中国の習近平国家主席が活発な外交を続ける一方で、日本に対しては「新型軍国主義」という新しい概念をつくり、批判を強めています。5月31日にシンガポールで開催された、英国際戦略研究所主催のアジア安全保障会議(シャングリラ・ダイアローグ)で小泉進次郎防衛相が「新型軍国主義」批判に対して反論しましたが、佐藤優氏は「中国の思うつぼ」だといいます。(作家・元外務省主任分析官 佐藤 優、構成/石井謙一郎)

活発な外交を続ける
習近平国家主席

 中国の習近平国家主席が、活発な外交を続けています。今年の上半期だけで、韓国、カナダ、英国、ドイツ、スペイン、米国、ロシア、パキスタン、ミャンマーなどの首脳が北京を訪問しました。習氏自身は6月に北朝鮮を訪れて、金正恩朝鮮労働党総書記と会談しました。

 会談では北朝鮮の非核化についての言及はなく、中国は事実上、朝鮮半島の非核化という主張を降ろしています。これは北朝鮮にとって、大きな成果です。日本の報道からは読み取れませんが、北朝鮮は中国との関係を、社会主義というイデオロギーで結び付いた特別のものだと強調しています。

 6月8日付「朝鮮中央通信」日本語版は、同日の「労働新聞」の社説に触れて、〈同紙は、習近平同志の今回の訪問は両党、両国の首脳の深い関心の中で日ごとに昇華、発展している朝中友好の不抜さと生命力を力強く誇示する意義深い契機であり、社会主義全面的発展のためのわが党と人民の闘争に対する支持と鼓舞であると指摘した。また、朝中関係は外来侵略者に反対し、社会主義を建設するための長きにわたる闘争の中で同志的友誼と血縁的絆によって固く結合された不敗の友好関係である〉と報じています。

 北朝鮮の認識では、ロシアとの関係は互いの国益の合致が基本なのに対し、中国とは国益に加えて社会主義という共通のイデオロギーで結び付いた質的に高い段階なのです。

米中韓が水面下で
動いている可能性

 その訪朝に関連して、韓国紙「中央日報」日本語版(6月6日)に、気になる報道がありました。