Photo:China Pool/gettyimages
米中首脳会談で見えた力関係の変化
交渉力の格差縮まり、“中国ペース”
トランプ米大統領の9年ぶりの訪中となった5月14、15日の米中首脳会談は、両国の通商貿易問題だけでなく、イラン情勢や台湾問題などが幅広く議論されたが、米中がそれぞれ発表した内容や高官などの発言から判断すると、中国ペースで進んだようだ。
支持率低下が続くトランプ大統領は中間選挙を半年後に控え、情勢挽回を図るために相当強力に貿易投資関係やイラン問題で中国の協力を求め、中国もそれに応じざるを得ないのではないか、とみられていた。
しかし会談では、習近平国家主席が、両国関係について「建設的な戦略的安定関係」構築をかかげ関係安定化を強く主張、台湾問題では「処理を誤れば両国はぶつかり合い、衝突にまで至りかねない」と、台湾独立派への支援など、米国の関与に対してこれまでにないような強い言葉で警告をし、米国の台湾への武器支援についてもけん制した。
トランプ大統領は、この問題では「発言しなかった」とし、台湾武器支援でも反論したわけではないようだ。
一方で、帰国後、農産物やボーイング機の購入などで成果を強調したが、それほど大成功だったわけではない。
中国は農産物の購入やボーイング機の購入を約束したと伝えられるが、それはトランプ大統領が訪中前に喧伝(けんでん)していたレベルには届かなかったようだ。
イラン問題でも、ホルムズ海峡の開放やイランの核保有に対する反対ということで一致したと米国側は強調したが、いわゆる一般論としての同意はともかく、中国が具体的にイランに対して行動することを約束したわけではなかった。
もちろん中国も安定的な米中関係を望んでおり、トランプ大統領を最大限もてなし、対立に持ち込むことはしないが、言うべきことは言ったという印象を残した。それに対しトランプ大統領は習近平国家主席をひたすら持ち上げつつ、強い主張をぶつけることは避けた。
今回の首脳会談で明確に示されたのは、従来存在していた米国と中国の交渉力の格差が縮まったことに他ならない。
このことは日本外交にも新たな課題を突き付ける。







