習近平の「腹心の部下」が相次ぎ失脚する理由とは?【池上彰・増田ユリヤ】2026年4月10日、中国共産党総書記の習近平国家主席(右)と台湾最大野党・国民党の鄭麗文主席が会談した  Photo:AFP PHOTO / The Office of Kuomintang (KMT), AFP=JIJI

トップ7人のうち
5人が失脚

増田 日本との関係だけでなく対米国や対イラン、対台湾関係が取り沙汰される中国ですが、国内でも異例の事態が起きています。人民解放軍の高官が次々に処分されたのです。

 2026年1月に制服組トップの張又俠・中央軍事委員会副主席や劉振立・統合参謀部参謀長などが相次いで失脚。習近平国家主席を含む中央軍事委員会のトップ7人のうち、5人が失脚する事態になりました。

池上 処分の理由は「重大な規律および法律違反」。中国の場合、罪状をはっきりと公表しないものの、この言い回しは多くの場合、汚職に関わったことを指します。5人が失脚した後もこのポストは埋まっておらず空席のまま。人民解放軍200万人をたった2人の軍事委員会で取り仕切っている構図です。

増田 習近平氏はもともと汚職に対して厳しい姿勢を取り、「反腐敗キャンペーン」を張ってきました。今回の失脚劇もキャンペーンの一環でしょうか。

進言して失脚する人
絶対に逆らわない人

池上 実際のところは分かりません。ただし、もともと軍高官は習近平体制になってから引き上げられた人たちで、いわば習近平氏にとって都合のいい人事だったはずです。しかもこうした失脚劇は今に始まったことではなく、25年10月にも何衛東・元副主席が失脚しました。何衛東氏は習近平氏が福建省で勤務していた頃からの付き合いという「福建閥」。今回処分された張又俠氏も、長年の習近平氏の腹心です。

増田 本当に汚職があったのか、あるいはささいなことでも疑心暗鬼が高じて、腹心の部下さえも信用できなくなったのかもしれません。