家庭でよく繰り返される「それってどれ?」「それだよ、それ」という不毛な会話。実は便利な「こそあど」言葉が無意識のうちに言語化を放棄させていることがあります。マンガと言葉を使ったゲームを通じて、小学生の子どもが楽しく言語化力を身に付けられると話題の一冊『12歳までに身につけたい「ことば」にする力 こども言語化大全』(ダイヤモンド社)の著者で文章の専門家・山口拓朗氏がースに親御さん向けの記事として書き下ろします。
Photo: Adobe Stock
「それってどれ?」「だから、それだよ、それ!」
「これ」「それ」「あれ」「どれ」。
日本語にはこうした「こそあど言葉」と呼ばれる指示語があります。
子どもの会話を観察していると、この「こそあど言葉」が思いのほか多いことに気づきます。「あれ取って」「それやっといて」「これ見て」「そっちにしようかな」。
指示語を使えば、具体的に語らなくても伝わります。とても便利な言葉です。
しかし、便利すぎるがゆえに、子どもが指示語を多用すると、具体的なことを口にする機会が失われていきます。
ひどい場合は、「それ取ってくれる?」という子どもに対し、親が「それってどれ?」と返し、さらに子どもが、「だから、それだよ、それ」という不毛なやり取りになってしまう恐れもあります。
これは、子どもにとって、ある種の言語化放棄です。
指示語を適切に使う技術はもちろん大事ですが、言語化力を伸ばすという観点からすると、指示語に依存しすぎるのは危険です。むしろ、指示語に頼らず、具体的な言葉を使うことで、言語化力は磨かれていきます。
そこでおすすめなのが、「指示語を意識して減らす」という工夫です。
家庭内で、一定時間だけ「これ」「それ」「あれ」をできるだけ使わずに会話してみる、というルールを作ってみましょう。ゲーム化することで、子どもが積極的に取り組みやすくなります。
たとえば、「あれ取って」と子どもが言ったら、「あれって何?」と聞き返します。子どもは「テレビのリモコン」「ランドセルに入っているプリント」「カルピスが入っている青いコップ」のように、具体的に言い直そうとするでしょう。
親もゲームに参加することで、家庭内全体で「あいまいな言葉」が減ります。
子どもが指示語を使ったときは、単なる指摘で終わらせず、「いま『それ』って言ったよ。『それ』って何かな?」と、粘り強く言語化を促しましょう。指示語に頼りすぎない会話は、子どもの「具体的に言葉にする力」を育てていきます。
*本記事は、『12歳までに身につけたい「ことば」にする力 こども言語化大全』(ダイヤモンド社刊)の著者山口拓朗氏による書き下ろしです。






