軽井沢は日本の中でも古くから世界の富裕層たちに愛されてきた土地である。が、その軽井沢は今、さらに進化し多くの富裕層の注目の的となっている。話題の書『日本人の9割は知らない 世界の富裕層は日本で何を食べているのか? ―ガストロノミーツーリズム最前線』(柏原光太郎著)から、抜粋・再編集し、日本におけるガストロノミーツーリズム最前線を解説。いま注目されているお店やエリアを紹介していきます。
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「NEXT軽井沢」ともいえる新たな魅力とは?
軽井沢は、皇室や著名人も訪れる別荘地であり、豊かな自然で有名です。また、あのビル・ゲイツも別荘を持っていると噂されるほど、世界の富裕層に愛されている地域でもあります。
そんな、古くから知られるエリアですから、今さら「海外の富裕層が殺到している」と言われてもピンとこないかもしれません。
ところが、実は今、軽井沢は進化の真っ只中にあります。「NEXT軽井沢」ともいえる新たな魅力が創出され、ガストロノミーツーリズムが盛んに行われているのです。
それを説明するために、ひと昔前と今の軽井沢はいったい何が違うのか、簡単に歴史を振り返ってみましょう。
軽井沢には年間800万人以上の観光客がやってきます。
たかだか「町」にこれだけの人が訪れるというのはすごいことですが、実はそのうちの半分はアウトレットの買い物客です。朝来て買い物をし、夕方には帰ります。そのため、軽井沢町民は「日本で随一のリゾートタウン」だと自負していたものの、実際はただのショッピングタウンだったのです。
その一方で、軽井沢には別荘がたくさんあるので、固定資産税は莫大です。長野県で唯一、地方交付金をもらわなくても自立できるので、ある意味、独立国として自由に歩んできたといえるでしょう。しかし、お金はじゃぶじゃぶ入ってくるのに、やることがない。そのためこれまでの軽井沢町はいわゆるハコモノ行政の典型でした。
「別荘族」と「町民」間の対立構造をやわらげた「新町民」
軽井沢町では長く、「別荘族」と「町民」の間で対立構造がありました。
たとえば親子三代にわたる古くからの別荘族としては、夏しか使わないのにハコモノばかりに税金を使われるのは納得がいきません。
一方、町民としては、別荘族が夏に集中的に利用するせいで、たとえばごみ処理車をたくさん買う必要があるなど、税金の使い方に不満を覚えるわけです。
ところが、別荘族も相続で持ちこたえられず、数十年前からの別荘は3割ほどしか稼働していないという状況になりつつあります。そこで両者が対立するのではなく、日帰りの観光客を連泊させるために、一緒になって魅力的なコンテンツを考えることが必要となってきたのです。
そこをうまく仲介したのが、新たに軽井沢に別荘を持ったり、移住したりしてきた「新町民」たちでした。彼らはIT関係者だったり、外資系金融出身だったり、年齢的には40代以上の富裕層が中心です。
軽井沢の別荘では古くからコミュニティが確立しているので、東京では秘書を通さないと会えないようなVIPとバーベキューを楽しむことも日常茶飯ですし、なにより自然が豊かなのに加えて東京までの交通の便もいいのが魅力です。
彼らのなかには二拠点生活者やセミリタイアして移住した人々も多かったため、古い別荘族と町民の緩衝材の役割を果たすことになり、力を合わせて軽井沢の価値を上げ、世界の富裕層が訪れるリゾートにしたいという機運が盛り上がってきました。
そして、そのコンテンツがガストロノミーだったのです。
御代田、小諸、佐久、東御、北軽井沢までのびる「大軽井沢食文化圏」
先述のように世界の富裕層は日本に美味しいものを食べるためにやってきます。軽井沢にも彼らを満足させるレストランはありましたが、これをもっと増やしたい。その観点で軽井沢周辺を眺めてみると、ワイナリーや蕎麦、郷土料理などガストロノミーを味わえる場所が周辺にたくさんあります。そこで、軽井沢というブランドで観光客を呼び寄せ、周辺に送客する「大軽井沢食文化圏」が構想されたわけです。
これにより軽井沢は再び脚光を浴びるようになりました。軽井沢町のみならず、地価の安い周辺に若手シェフが新しい店を作りはじめ、ワイナリー、ウィスキー醸造所、リゾートホテルなどもできているのです。今や大軽井沢食文化圏は御代田(みよた)、小諸(こもろ)、佐久(さく)、東御(とうみ)、群馬県北軽井沢側にまで延びています。
※本記事は、『日本人の9割は知らない 世界の富裕層は日本で何を食べているのか? ―ガストロノミーツーリズム最前線』(柏原光太郎著・ダイヤモンド社刊)より、抜粋・編集したものです。この記事の情報は、本書の発売時のものになります。






