白い仮面を持った医者Photo:PIXTA

日本の美容医療界を代表する学術団体「日本美容皮膚科学会」が、泥沼の権力闘争に揺れている。きっかけは元理事長らが突き付けた「不透明な会計処理」への追及だった。だが取材を進めると、学会側は疑惑を全否定。そればかりか、告発した“元理事長派”の足元から、大手製薬会社との「不適切なカネの結び付き」を示すブーメランが飛び出す異常事態に発展していた――。(フリーライター 村上 力)

スキンケア数兆円市場が生んだゆがみ
総会急襲を狙うOBたちの「クーデター」

「日本美容皮膚科学会」――。日本皮膚科学会理事長や日本小児皮膚科学会会長などを歴任した故・安田利顕氏が設立した学術団体だ。設立当初こそ、美容医療は医療界で“異端視”され、2000年代初頭まで会員数は数百人にすぎなかった。

 しかし近年のスキンケア市場の爆発的拡大に伴い、潮目は一変。今や学者や皮膚科専門医を中心に3000人以上を擁する一大権益団体へと急成長を遂げた。

 この巨大組織のトップである須賀康理事長(順天堂大学教授)に対し、公然と反旗を翻したのが、同学会の元理事長である川島眞・東京女子医科大学名誉教授らを中心とするグループだ。

 川島氏らは今年2月に「改革を目指す有志の会」を結成。さらに6月には「代議員の会(代表・船坂陽子・日本医科大学名誉教授)」へと組織を拡大し、今年7月31日に予定されている定時社員総会(企業の株主総会に相当)に向け、自分たちの息がかかった役員を追加選任するよう求める運動を開始した。

 事実上の“総会クーデター”の画策である。

 彼らが掲げる大義名分は「学会運営の闇、会計処理の不透明さの是正」だ。しかし、この美名に隠された泥沼の応酬をひもとくと、奇妙な「食い違い」が浮かび上がってくる。

 ダイヤモンド編集部は、現執行部と元理事長派のやりとりに関する書面を独自入手した。日本の美容医療業界を左右しかねないドロ沼のバトルロイヤル、その全貌を次ページで公開する。