フィンランドの首都ヘルシンキにある販売代理店で展示されるBYD車 Photo: Lingling Wei/WSJ
【ヘルシンキ】「はい、上の階にございます」。この街の外れにあるメルセデス・ベンツ販売代理店の受付担当者は先月、中国の電気自動車(EV)があるかと尋ねた私にこう答えた。
上の階に行き、メルセデスのセダンの認定中古車が並ぶ列を通り過ぎると、ショールームの中にショールームがあった。そこには比亜迪(BYD)のモデル――黄色の「ドルフィン・サーフ」や濃紺色の「アット3 エボ」、そして売約済みのマークがついた黒色のワゴン「シール6 DM-i」――が並んでおり、営業担当者の言葉を借りれば「新しいオーナーを待って」いた。
それは、中国のEVメーカーが、欧米の自動車市場の新たな一角を静かに開拓していくという、おなじみの物語の始まりのように見えた。しかし、低価格と高い技術力だけで十分通用するかどうかを試す上で、フィンランドは欧州で最も厳しい場所の一つかもしれない。この国では中国に対する懐疑的な見方が根強い。それはガバナンスや人権、安全保障に関する欧州のより広範な懸念を反映している。またそこには、中国のEVメーカーが欧州を攻略する上で直面する壁を垣間見ることができる。
この販売店のBYD専任担当者であるミッコ氏は、フィンランド国内で月間約60台のBYD販売台数のうち、同店ではそのエリア内で月に8~20台を販売していると語った。確かな勢いを感じさせるものとはいえ、フィンランド全体で見ればほとんど目立たない。同国最大の新聞「ヘルシンギン・サノマット」で自動車と経済を担当するエサ・ユントゥネン氏によれば、国内市場におけるBYDの実際のシェアは伸びているものの、今年1~5月はわずか1.8%にとどまった。同国で売れているブランドの13番目に位置し、トヨタやフォルクスワーゲンには遠く及ばない。







