なぜVWは10万人削減に追い込まれ、トヨタは踏みとどまれたのか?EVでも中国でもない「35年前の決断」とはPhoto:picture alliance/gettyimages

「欧州の病人」に堕ちたドイツ

 2026年6月、世界第2位の自動車メーカー、フォルクスワーゲン(VW)が最大10万人規模の人員削減を検討していると報じられた。実現すれば、全従業員65万7000人の約15%に相当する大リストラ策になる。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR26BID0W6A620C2000000/

 報道によれば、高い生産コスト、グローバル市場の喪失、デジタル転換の遅れなどが原因として挙げられている。

 だが、私から見ると、それらは「原因」ではなく「帰結」に近いものだ。

 なぜ世界第2位の自動車メーカーが、ここまで追い詰められなければならなかったのか。その答えを探ると、1990年のドイツ統一に行き着く。

 独経済誌『マネジャー・マガジン』によると、VWは7月9日の監査役会で人員削減を含む長期戦略を協議する予定だという。北部エムデン、ハノーバー、東部ツウィッカウ、南西部ネッカーズルムのアウディ拠点を含む国内4工場の閉鎖も視野に入っているという。

 VWが抱える三つの構造問題は広く報じられている。日本経済新聞によると、ドイツの製造コストは車1台あたり3307ドルと、日本(769ドル)の4.3倍、中国(597ドル)の5.5倍に上る。北米販売は前年同期比13%減、中国でも15%減と、二大市場での失速が続く。

 日独のこの差は、主に人件費と社会保障負担、そして、ユーロ高による輸出競争力の減退に起因する。

 VWはディーゼルゲート(ディーゼル車の排ガス不正問題)後にソフトウェア開発子会社カリアドを立ち上げたが、ブランド間の縦割り文化が統合を妨げ、結局、失敗に終わっている。デジタル転換の遅れも深刻だ。

 ただし、これらはVW固有の問題ではない。BMWは中国市場での販売不振で2026年12月期の業績を下方修正した。独自動車部品大手のボッシュも2030年末までに1万3000人を削減する。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2025093000479&g=jnb