「勉強しなさい」と声をかけても、子どもはなかなか机に向かわない。ようやく勉強を始めても、すぐにスマホを触ったり、別のことを始めたりしてしまう。そんな姿を見て、「もっとやる気を出してほしい」とヤキモキする親は多いのではないでしょうか。500万DLを突破したアプリ「集中」の開発者・戸田大介さんは、「勉強嫌いは、やる気の問題とは限らない」と指摘します。子どもの頭の中にある「勉強への負のイメージ」をなくす方法を聞きました。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)
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勉強を嫌がるのは「やる気がない」からではない
――子どもが勉強を嫌がり、なかなか机に向かおうとしません。勉強へのやる気を引き出す、いい方法はありますか。
戸田大介(以下、戸田):アプリ「集中」の開発を通じて、勉強や仕事に集中したいユーザーのデータを分析し、さまざまな声を聞いてきました。
そこで感じたのは、人が何かを始められないとき、単純に「やる気がない」とは限らないということです。取り組もうとしていることに対して、「つらい」「苦しい」という負のイメージを抱いている場合があります。
これは勉強にも当てはまります。
たとえば、疲れて集中力が切れているのに、「でもやらなきゃ……」と無理に勉強を続けた経験はないでしょうか。
参考書を開いていても内容はほとんど頭に入らず、ただ時間が過ぎるのを待っている。こうした経験を繰り返すと、「勉強=苦しい」というイメージが強くなっていきます。
すると、次に机に向かおうとしたときにも、「またあの苦しい時間が始まる」と感じます。その結果、勉強を始める前から「面倒くさい」と思ってしまうのです。
――本人が意識していなくても、過去の経験が勉強への向き合い方に影響するのですね。
戸田:そうだと思います。これは勉強に限った話ではありません。仕事でも、毎回ヘトヘトになるまで続けていると、次に始めるときの心理的なハードルが高くなります。
特に真面目な人ほど、集中力が切れても「最後まで頑張らなければ」と考えがちです。しかし、無理して続けるほど、取り組んでいることへの負のイメージは強くなってしまいます。
集中力が切れる「前」に休む
――勉強に対する負のイメージを和らげるには、どうすればいいのでしょうか。
戸田:アプリの利用状況やユーザーの声を見ていて感じるのは、疲れ切るまで続けないことが大切だということです。
多くの人が、集中力が完全に切れてから休憩しようとします。しかし、いったん集中力が尽きてしまうと、元の状態に戻すのは簡単ではありません。このことは、多くの研究で裏付けられています。そこで、集中力が切れる前にいったん手を止め、短い休憩を取ります。
簡単な方法は、タイマーを使って時間を区切ることです。たとえば、20分や30分に設定し、時間が来たらいったん手を止めます。
勉強を始める前から「長時間頑張らなければいけない」と考えると、それだけで取りかかるのが嫌になります。一方、「20分だけ」と決めれば、始めるときの心理的な負担も軽くなります。
――集中しているのに止めるのは、もったいない気もします。
戸田:そう感じますよね。ただ、「もう少しやりたかった」と思えるところで止めると、勉強に対する嫌な感覚が残りにくくなります。
反対に、ヘトヘトになるまで続けると、最後の苦しかった感覚が強く残ります。すると、次に勉強を始めるときの心理的なハードルが上がってしまいます。
受験勉強はかならず長期戦になるので、「たまたまがんばれた一日」にどれだけ長く続けたかだけでなく、次も無理なく始められる状態を残しておくことが大切です。
「もう少しやりたい」で終わらせる
――「まだできる」と感じるくらいで休むのがいいのでしょうか。
戸田:集中を長く続けるという観点では、余力があるうちに休むのがおすすめです。
「もう少しやりたい」と感じるところで休憩に入れば、再開するときにも続きに取りかかりやすくなります。勉強に対して「ずっと我慢しなければいけないもの」ではなく、「短い時間なら集中できるもの」という感覚も生まれてきます。
また、科目を切り替えるのも一つの方法です。数学を30分勉強したら短い休憩をとり、次は英語に取り組む。このように時間と科目を区切ると、同じことを長時間続けるよりも、集中しやすくなります。
試験を控えているのに、勉強もせずダラダラしている子どもを見ると、親としては「このままで大丈夫だろうか」と不安になり、ヤキモキすると思います。
ですが、大切なのは、一度に長く勉強することではありません。短い時間でも集中して取り組み、疲れ切る前に終える。そのほうが「勉強はつらい」というイメージが残りにくく、次も机に向かいやすくなります。
(この記事は、『脱スマホ術──「何もせず1日が終わった」がなくなる』の著者戸田大介氏へのインタビューです)








