投資家がやめられない「心理ゲーム」ILLUSTRATION: ALEX NABAUM FOR WSJ

 投資家は常に高いパフォーマンスを追い求めているが、なかなかそれを得ることはできないようだ。

 最新の証拠は、暗号資産(仮想通貨)ビットコインに投資する上場投資信託(ETF)から得られる。2024年1月にビットコインETFが一斉に上場した際、投資家はそれらに大量の資金を投じたが、同ETFのリターンは投資家が実際に得たリターンを大幅に上回っている。

 これは、ビットコインETFの買い手の多くが「高値で買い、安値で売る」という行動を取ったためだ。この繰り返されるパターンは、暗号資産の特性というよりも、人間の本質を如実に物語っている。

 投資の要諦が「安く買って高く売る」ことにあるのは誰もが知っているが、人間は往々にしてその逆の行動を取ってしまう。全体として見ると、この自滅的な行動は投資家に数十億ドルの損失をもたらしている。この悪癖を克服することは可能だが、そのためには、自分自身を正直に見つめ直し、行動を変えると決意するほかない。

 投資家はなぜ、投資先のファンドよりも低いリターンしか得られないのか。ファンドが公表する投資リターンは、計測期間の始めにファンドを購入し、その終わりまで保有し続け、その間、資金の追加も引き出しも一切行わなかったという前提で算出されている。

 それが示しているのは、ファンドの価格がどう動いたかであって、その投資家がどう動いたかではない。投資家は人間であるがゆえ、快楽(利益)を追い求め、苦痛(損失)から逃れようとするのだ。

 ここ数年で急増した人気ファンドの典型例であるビットコインETFを見てみよう。2024年1月11日に11本のビットコインETFが上場した際、ビットコインは4万6000ドル程度で推移していた。今年6月30日の時点では5万8700ドル程度まで上昇していた。

 では、ビットコインETFを購入した投資家は高いリターンを得たのだろうか。答えは「ノー」だ。