ダイエットの大敵といえば「糖質」ですが、実は糖の中でもさらに恐ろしい、人体を“太らせる”スイッチが存在します。減量専門医であるアンドリュー・ジェンキンソン医師によれば、お菓子などにひそむ「果糖」を摂取すると細胞がエネルギー不足に陥り、冬眠前のクマのように無限の食欲が湧いてしまうといいます。現代人を肥満に陥れるメカニズムを解説します。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)

炭水化物より恐ろしい…無限に太らせる「糖」の共通点・ワースト1Photo: Adobe Stock

「果糖」が人間の冬眠スイッチをオンにする

人間の体重増加のスイッチを入れるのは「果糖」だということが最近明らかになった。

同じスイッチは多くの動物(と鳥)にもあり、冬眠や渡りに備えて急激かつ劇的に体重を増加させる。

長い冬眠に入る前のヒグマや、冬になって活動量を低下させる前のリス、長い渡りに備えた多くの鳥などがこれに相当する。

多くの種に見られる体重の大幅増加の引き金となっているのが果実の果糖だ。

こういった動物の驚くべき体重の増加には、ある共通の特徴がある。

増えた脂肪は皮下脂肪ではなく内臓脂肪であること、(糖尿病さながら)血糖値が高いこと、そして高血圧だ。

実際、生き延びるために体重を増やす種に見られる特徴は、人間で言うところのメタボリックシンドロームの症状に似ている。

そう、肥満に苦しむ人によく見られる症状だ。

炭水化物より恐ろしい「果糖」のカラクリ

体内の果糖の処理方法は他の炭水化物とは異なる。

ブドウ糖の場合、細胞内に入ると代謝され、エネルギーが産生される。

しかし果糖は異なり、分解されている間に細胞のエネルギー産生能力を枯渇させてしまう。

細胞が用いる通常のエネルギー通貨ATPは、AMPという無用の通貨に変換され、その後細胞によって分解されてしまう。

エネルギーが枯渇して低エネルギー状態になる細胞は、その変化を、体重をコントロールする脳内の中枢に伝える。

その結果、食欲が凄まじいまでに増大し、代謝のエネルギー消費量は低下する。

つまりエネルギーがさらに貯蔵され、おのずと体重が増えるわけだ。

(本稿は書籍『減量専門医が教える 食べ方の正解』より一部を抜粋・編集したものです)

アンドリュー・ジェンキンソン Dr.Andrew Jenkinson

名門ユニバーシティ・カレッジ病院の肥満(減量)外科および一般外科医、コンサルタント。サウサンプトン大学医学部を卒業後、イングランド王立外科医師会のフェローシップに参加。腹腔鏡手術の外科学修士課程を修了し、ホーマートン大学病院にてロンドンで最も予約の取れない肥満治療病棟の設立に貢献した。
前腸(食道と胃)に関する世界的権威としても知られ、2000年以来、100以上の科学論文を発表。現在はNHS(国民保健サービス)に従事しながら、ロンドンクリニックとウェリントン私立病院の肥満外科部門の責任者を務める。