「植物油はコレステロールを下げて心臓に良い」というイメージを持っていませんか? 安価な加工食品に大量に使われている植物油ですが、減量専門医であるアンドリュー・ジェンキンソン医師によれば、実は体内で細胞の「炎症」を引き起こし、食欲を暴走させる黒幕だといいます。「油」の真実を明らかにします。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)

【減量専門医が教える】寿命を縮める「最悪の油」の特徴とは?Photo: Adobe Stock

「植物油=ヘルシー」は大きな間違いだった

ヒマワリや菜種(キャノーラ)といった植物油は体にいいと、長年言われ続けてきた。

こういった油がそのパッケージで大々的に謳っているのが「心臓にいい」や「オメガ6脂肪酸がたっぷり」などだ。

だが、植物油は心血管疾患から我々を守る、というこれまでの研究結果が実は間違っていたことが最近証明された。

2016年、アメリカの国立衛生研究所(NIH)において研究員がとある有名な研究を検証し直した。

1968年から73年にかけて行われたミネソタ冠動脈実験だ。

当時の実験では、何千人もの患者を二つのグループに分けた。

一方のグループは、バターや牛乳、チーズ、肉といった飽和脂肪酸がたっぷり含まれたアメリカの通常の食事を続けた。

もう一方のグループも同様の食事を摂りはしたが、脂肪は植物油に置き換えてあった。

しかし、当時の実験データを調べ直したNIHの研究者は、かつての推論と反対の結果を見出した。

脂肪を植物油に換えたグループのコレステロール値が、通常の食事のグループに比して大幅に低かったにもかかわらず、心血管疾患の少なさにはつながっていなかったのだ。

実際のところ、「心臓にいい」と信じられていた植物油の食事をしていたグループのほうが、通常の食事をしていたグループよりもかなり早く亡くなっていた。

安価な油が引き起こす「全身の炎症」の恐怖

自然は我々に2種類の必須脂肪酸をもたらしてくれる。

必須脂肪酸は、オメガ3脂肪酸オメガ6脂肪酸という。

いずれもすべての細胞膜に存在し、インスリンシグナルと炎症に影響を及ぼす。

オメガ3脂肪酸は空気に触れると酸化しやすいため、含有食品はすぐに酸敗してしまう。

一方オメガ6脂肪酸は空気中でも比較的安定した状態を保っていて、すぐには酸化しない。

つまり、オメガ6脂肪酸を含む食品は賞味期限が長いということだ。

従ってオメガ3脂肪酸はほとんどの加工食品に含まれておらず、新鮮な野菜や肉、魚に適量が含まれているだけである。

対してオメガ6脂肪酸は、種子を原料とする植物油(トウモロコシ、ヒマワリ、綿実、菜種など)に大量に含まれている。

オメガ3脂肪酸は炎症を抑制し、細胞内シグナル伝達を促進することで、インスリン(代謝を維持し、過剰な高血糖状態による臓器障害を防ぐホルモン)が正常に機能するよう助力する。

対してオメガ6脂肪酸は体内の炎症を増加させ、細胞内シグナル伝達を阻害する。

つまりインスリンが効果的に機能しなくなる。

その結果、我々が摂取する糖分や炭水化物を処理するためにさらなるインスリンが必要になってくるのだ。

(本稿は書籍『減量専門医が教える 食べ方の正解』より一部を抜粋・編集したものです)

アンドリュー・ジェンキンソン Dr.Andrew Jenkinson

名門ユニバーシティ・カレッジ病院の肥満(減量)外科および一般外科医、コンサルタント
サウサンプトン大学医学部を卒業後、イングランド王立外科医師会のフェローシップに参加。腹腔鏡手術の外科学修士課程を修了し、ホーマートン大学病院にてロンドンで最も予約の取れない肥満治療病棟の設立に貢献した。
前腸(食道と胃)に関する世界的権威としても知られ、2000年以来、100以上の科学論文を発表。現在はNHS(国民保健サービス)に従事しながら、ロンドンクリニックとウェリントン私立病院の肥満外科部門の責任者を務める。