カロリー計算をして食事制限を頑張っているのになぜか痩せない。そんなループに陥っていませんか? 肥満治療の最前線に立つ減量専門医、アンドリュー・ジェンキンソン医師によれば、摂取カロリーを減らすと脳が勘違いし、消費カロリーを強制的にカットする「省エネモード」に突入してしまうといいます。カロリー神話の残酷な真実を解き明かします。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)

【減量専門医が教える】絶対やってはいけない「ダイエットの勘違い」ワースト1Photo: Adobe Stock

あなたの体重は「脳」が勝手に決めている

万人にその人独自の体重のセットポイントがある。脳がその人に望む体重だ。

運がいいと、体重のセットポイントは標準体重の範囲内に収まっている。食べ過ぎて体重が増えれば、脳が満腹シグナルを出して過食を止めてくれる。

病気で体重が減った場合は、確実に体重を戻せるよう脳が食欲を増加させてくれる。

こうして脳は、人が過度にカロリーを気にすることなく、何年も健全な体重を維持できるようにしてくれているのだ。

しかし、すべての人が有する固有の体重のセットポイントが、遺伝子や食べ物、ストレス、睡眠環境、そしてそれまでに食べてきたものによって決まる。

セットポイントよりも体重を下げようと必死に頑張ってもうまくいかない。

減量の綱引きでは体重回復チームが勝つ。

【減量専門医が教える】絶対やってはいけない「ダイエットの勘違い」ワースト1減量の綱引きのイメージ(書籍『減量専門医が教える 食べ方の正解』より)

食事を減らすと、体は「省エネモード」になる

安静時代謝(基礎代謝)は、我々が1日当たりに消費するエネルギーの70%を占める。

どういうわけか代謝は変動しないものと考えられているが、これも大きな誤解だ。

代謝を決めているのは、増量や減量を止めようとする脳だ。

例を挙げる。結婚式や旅行といった来たるイベントに備えて減量したいとしよう。

そのために、2000キロカロリーほどだった1日の摂取カロリーを1500キロカロリー程度まで減らす。

最初は確かに体重が減るだろう。

だが、スマートフォンがバッテリー残量の減少を感知して省エネモードに切り替わるのと同じで、体もすぐに体重減少を感知し、減らしたカロリー量に匹敵するまで代謝を下げて対応する。

人間の省エネモードが起動すると、1日当たり500キロカロリーものエネルギーが節約される。

すると、カロリー制限を続けているにもかかわらず、体重計の目盛りが微動だにしなくなる。

体がダイエットに慣れてしまったのだ。

脳は体重が少な過ぎると感知すると、安静時代謝を低下させてエネルギーを節約する。

そして体重が多過ぎると認識すると、代謝を上げて減量を助ける。

(本稿は書籍『減量専門医が教える 食べ方の正解』より一部を抜粋・編集したものです)

アンドリュー・ジェンキンソン Dr.Andrew Jenkinson

名門ユニバーシティ・カレッジ病院の肥満(減量)外科および一般外科医、コンサルタント
サウサンプトン大学医学部を卒業後、イングランド王立外科医師会のフェローシップに参加。腹腔鏡手術の外科学修士課程を修了し、ホーマートン大学病院にてロンドンで最も予約の取れない肥満治療病棟の設立に貢献した。
前腸(食道と胃)に関する世界的権威としても知られ、2000年以来、100以上の科学論文を発表。現在はNHS(国民保健サービス)に従事しながら、ロンドンクリニックとウェリントン私立病院の肥満外科部門の責任者を務める。